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組織づくりにおける「エンパワーメント」とは?成功に導くポイントと事例を紹介

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従来のマネジメントでは、ピラミッド型の組織構造での職務権限と職務分掌が重要でした。しかし、雇用や組織の多様化によって個々のパフォーマンス向上に重点が置かれてきています。
そこで注目されているのがエンパワーメントの概念です。今回は、組織づくりにおけるエンパワーメントについて解説した上で、そのメリットや注意点、そして成功へと導く3つのポイントと事例をご紹介していきます。

 

エンパワーメントとは

組織づくりにおける「エンパワーメント」とは、個々のパフォーマンスを最大限に引き出すために、「現場の社員に権限を委譲すること」です。

単純に上司の裁量や判断を部下に持たせるという意味ではなく、部下が自分で判断・行動できるための環境をつくることを指します。
その判断や行動を通じて、部下が自発的に成長できるように促すことが、エンパワーメント本来の取り組みとされています。

湧活(ゆうかつ)とも呼ばれ、「権限移譲」のほか「能力開花」と訳されることもあります。

エンパワーメントが注目される背景

なぜ、エンパワーメントが注目されているのでしょうか。その理由には、次のようなものが挙げられます。

(1) マネジメントによりスピードが必要になっている

(2) 管理職不足のために後継者の育成が急務である

(3) 社員の自律性を高め自主的な能力向上を図りたい

これらは、多くの職場で取り組むべき課題になっています。こうした課題に対して、解決の糸口とされているのが「エンパワーメント」です。

終身雇用などの慣習が廃れていく中で、一定の在籍期間を経た社員の中から管理者を選ぶという従来の制度は通用しなくなりました。
管理者教育が追い付かないために、適任者の不在といった問題もあるでしょう。
また、新卒入社から経営者の理念や方針などをじっくりと教育することも困難になっています。そこで、人材育成の短期化をねらいとした権限の一部委譲であるエンパワーメントが注目されています。

確かに組織として重要な判断や決断は、マネージャーやリーダーが下すべきですが一方で部下自らに判断を任せてよいこともあるはずです。
部下に権限を委譲していくことで、判断基準や経営者の方針など、管理者に必要な要素をより短期間に、実践的に身につけることができます。

「OODA(ウーダ)ループ」と対応スピード

エンパワーメントと密接に関係する理論として、「OODA(ウーダ)ループ」がいま注目を浴びています。
「OODAループ」は、アメリカ空軍のジョン・ボイド大佐が提唱した意思決定の理論です。彼の理論の特徴は、行動に移すまでの早さです。
以下のように目標を達成するための段階を4つに分けています。

  • Observe = みる(観察、監視)
  • Orient  = わかる(判断、見当をつける)
  • Decide  = きめる(決定、決断)
  • Act  = うごく(実行、行動)

よく比較されるフレームワークである「PDCAサイクル」に比べて、臨機応変さが求められるため、判断と行動のスピードが身につくという特徴があります。

そもそもPDCAサイクルは、品質管理上の継続的改善の手法です。
そのため万人に当てはまる決められた工程がない人材育成には向かないケースも多く、一定の成果が出るまでに時間がかかってしまいます。
一方でOODAループはその欠点を補い、人材育成や事業開発における意思決定のフレームワークとして注目されています。

OODAループによって、社員の判断や行動のスピードアップができる環境を作ることも、エンパワーメント推進の一環となるでしょう。

エンパワーメントのメリット、デメリット

実際にエンパワーメントを推進するにあたって生じる可能性があるメリットとデメリット、さらにはその注意点をご紹介します。

メリット

メリットには、やはり社員の「自律性、自発的」という部分が挙げられます。

いずれ管理者になってほしいという人材だけでなく、すべての社員に「自ら考え、動く力」を身につけてもらうためにも、エンパワーメントは人材育成において重要なポイントです。
エンパワーメントの具体的なメリットは、以下のような点が挙げられます。

  • 判断、決定、行動がスピーディーになる
  • 与えられた裁量の中で、自発的に考え行動することができるようになる
  • 仕事に対して責任感や誇りをもつことができるようになる
  • 会議や業務改善などで、現場から活発なアイディアや提案が出やすくなる

デメリット

一方で、「権限移譲」のイメージもあって抵抗感を感じるケースや、業務を渡すことの難しさがデメリットとして挙げられます。

  • 本人の力量に合わない権限や責任は逆に委縮させてしまう
  • 組織のビジョンやミッションとのずれが出てくる
  • 上司や管理職が「知らないこと」が出てきてしまうリスクがある
  • 従来型のマネジメントモデルを守りたい社員や管理職と衝突しやすい

エンパワーメント導入のよくある失敗

メリット、デメリットをふまえて、エンパワーメント導入で起こりがちな知っい例と注意点についても挙げていきます。

エンパワーメントは社員を委縮させたり、組織本来の機能を損なったりしないような丁寧な権限の委譲が必要です。
あくまで目的は、「個々の自発的な成長」と「パフォーマンス向上」であることを忘れないようにしましょう。

権限と責任を丸投げしてしまう

エンパワーメントとは、上司の権限と責任を丸投げすることではありません。
本来、「権限・責任・報酬」は、正三角形になるような相関関係が理想とされています。
しかしこの場合の権限に対する責任は、委譲した上司のものと考えるべきでしょう。

「与えた権限に等しい責任を負え」といったやり方では、部下は萎縮してしまい、積極性や自発性が生まれにくくなってしまいます。
繰り返しになりますが、部下が権限を発揮することのできる環境を提供し、自発性を促すことが重要です。

報告・連絡・相談が疎かになってしまう

権限の委譲があったとしても、「報告・連絡・相談」といった組織運営の原則がなくなるわけではありません。

前述の通り、委譲した権限の責任は委譲した上司にあります。
たとえ現場の担当者間で判断、決定して行動したとしても、それを上司が知らなくてよいということはありません。
部下の自由な議論や決定を尊重しつつ、全体の業務把握はしっかり行いながら「見守る」環境をつくることが必要と言えるでしょう。

エンパワーメントの成功ポイント

エンパワーメント推進にあたって、成功のポイントを考えてみましょう。
会社の施策の多くは、経営者または管理職が主体となって推進していきます。当然エンパワーメントの推進にもリーダーの牽引力が必要です。

しかし、これまでにお伝えしてきたように、あくまでも「社員(部下)が主役」です。このことを意識しておくことが、成功への近道と言えるでしょう。

部下の判断を尊重する

部下のやり方に口を出したくなる気持ちは理解できますが、待つ時間やミスも含め、部下の判断を尊重することが大切です。
これを繰り返すことで、部下の意思決定力や判断力が養われ、成長へと繋がっていきます。

そして肝心なことは、部下の判断を尊重しつつ上司や管理職が良きアシスタントになり、部下の成長にとって良い環境づくりができるかどうかです。
まずは任せた現場の判断に信頼を置き、その判断を尊重することからスタートしてみましょう。

仕事の目的、ビジョンやミッションを共有する

部下に権限を委譲することとセットで、その仕事が組織においてどういった位置づけなのか目的をしっかり共有しましょう。
目的が曖昧なまま権限を委譲してしまっては、部下が自ら考え判断する材料がなくエンパワーメントにつながりません。

また、理想としては会社全体のビジョンやミッションは何なのか、社会に対してどういった価値を提供していきたいのか、という大きな方針をしっかりと伝えることも重要です。
会社や組織でやること、やらないことを明確にすることで部下はその範囲で自由に動くことができるため自発的に動くことを促すことができます。

【参考記事はこちら】:退職率30%からの組織改革。ラクスルの成長を支えた人事制度・カルチャーづくりとは?

強みを活かすための個性に適した権限を委譲する

特にエンパワーメント導入の際には、委譲する本人の強みを知り、それに合わせた権限を与えることが望ましいといえます。
権限委譲をする時に、それがどんな内容でもよいというわけではありません。社員個人の強みを把握せずに的外れな権限移譲をしても、成果にはつながりにくいでしょう。

逆に社員の強みを活かした判断と行動は、良い結果に結びつきやすいです。成功体験は人を成長させ、積極性を培い、次につなげることができます。
個性に適した委譲によって成功を覚えることで、弱点や課題に対しても積極的に改善しようとする姿勢になります。

社員のエンパワーメントを掲げるフィードフォースさんの事例

「働く」を豊かにする。~B2B領域でイノベーションを起こし続ける~をミッションに掲げ、BtoB領域で企業の生産性を高めるサービスを提供しているフィードフォースさん。

1on1の導入、9ブロックによる評価制度、ノーレイティングの導入など、さまざまな取り組みのトライ&エラーの根底にあるのは、「社員をエンパワーメントする組織をつくりたい」という思いでした。
創業期から現在に至るまで、具体的にどのような組織づくりを手がけてきたのかを伺いました。

従業員の内発的動機づけが大事だと考え、「自分が裁量を与えられていて、自分の意志でやっている」と従業員が感じることのできる環境を大切にし、積極的に1on1やOKRなどの取り組みを導入しています。

【フィードフォースさんのインタビューはこちら】:1on1、OKR、ノーレイティング…なぜ、フィードフォースは新しい施策に挑戦し続けられるのか?

エンパワーメントの目的とポイントまとめ

ここまでエンパワーメントの活用について、解説してきました。現場に判断と行動の権限を適切に与え、自発的成長を促すことが個々のパフォーマンス向上につながります。また「自ら考え、行動する組織」として、会社全体の成長にも結びついていくでしょう。

改めて、エンパワーメント導入と実践のために、ポイントをおさらいしてみましょう。

エンパワーメント導入の目的

  • 現場の社員の責任感、仕事への誇り、自律性を育てる
  • よりスピーディーな判断と行動、短期間での人材育成を目指す
  • 活発なアイディアや業務改善が期待できる

エンパワーメントの導入、推進にあたって重要なポイント4つ

  • 権限移譲の名目で権限と責任を丸投げしない
  • ホウレンソウや情報共有のしくみを作っておく
  • 現場の社員の判断や決定を尊重する
  • 最初は強みに合わせて移譲して成功体験を与える

今現在、自らの裁量と判断で会社を牽引している管理職やリーダーは少なくないはずです。
今後は、社員個々のパフォーマンスを高めるためにも、社員に裁量や判断を実践で覚えてもらえるよう、管理職やリーダーはアシスタント役に回ってみることをおすすめします。

参考記事はこちら

また、エンパワーメント推進の意味でもOKRや1on1などの仕組みを取り入れる企業も増えています。こちらの記事も参考にしてください。

【OKRについてはこちら】:Googleも採用!目標管理手法「OKR」とは?無料で試せるツール3選

【1on1についてはこちら】:成果につながる「1on1ミーティング」の実践方法と効果的な運用ツール3選

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