(TECHPLAY 武藤氏・Azit 油谷氏)
「組織づくりベース」を運営する、「HITO-Link(ヒトリンク)」サービスは、「HITO-Link CRM(ヒトリンク シーアールエム)」(https://www.hito-link.jp/crm)を2019/10/15にリリースしました。
「HITO-Link CRM」は、企業の採用マーケティングの実現を支援する、国内初の採用特化型CRMです。転職意欲が顕在化する前の潜在候補者の情報を蓄積・可視化し、「認知してもらう段階」から「志望度を上げる段階」のコミュニケーションプランを設計、採用まで繋げる仕組みを提供します。
2回に分けてお届けしている、TECHPLAY武藤さんとAzit油谷さんの「採用マーケティング」対談【前編】では、企業が個人に「認知」されるために必要なことについてお話しいただきました。【後編】では、「採用マーケティングの始め方」についてお届けします!
【前編】はこちら:TECHPLAY武藤氏×Azit油谷氏による「採用マーケティング」対談~ターゲットに「ドキドキ」を届けるために必要なコト~
武藤 竜耶 氏
パーソルイノベーション株式会社
イノベーション推進本部TECH PLAY Company マネジャー
新卒でパーソルキャリア(株)(旧インテリジェンス)入社。インターネット領域の採用支援に一貫して関わり、人材紹介事業インターネット領域部門のマネージャーとして組織マネジメントに従事。現在はパーソルイノベーション(株)にて月間1000名のテクノロジストが集まるTechnology HUB space「TECHPLAY」のマネージャーを務める。
TECHPLAY(https://techplay.jp/)
IT勉強会・セミナーなどのイベント情報検索サービス。通知テクノロジーに関わる様々なイベント・勉強会・講演会・交流会・カンファレンス・セミナーなどの情報を集約して掲載しています。また、企業のイベント企画コンサルティング・運営まで支援しています。
株式会社Azit PeopleOperations部長
新卒でパーソルキャリア(株)(旧インテリジェンス)入社。人材紹介法人営業として新人賞を受賞し、最年少マネジャー、ゼネラルマネジャーとして法人営業部門の責任者を経験。
2018年10月に株式会社Azitに転職。採用領域、EmpoyeeExperience全般を担当し、Azitの組織設計を担っている。
株式会社Azit(https://azit.co.jp/)
Azitは、"乗りたい" と "乗せたい" を繋げるモビリティ・プラットフォーム「CREW」を開発・運営する企業です。「移動格差」をなくすことで誰もが自然体でいられる日常を取り戻すことを目的とし、「"おもてなし"と"ありがとう"の循環」をコンセプトにプロダクト創りをしています。
事業戦略で一番大切なのは「人の採用」
――採用マーケティング活動をしていくうえで、人事だけではなく「どう社員に協力してもらうか」がすごく重要だと思うのですが、一方でなかなか社員を巻き込みにくいという話もよく聞きます。
油谷:Azitは基本的に「採用は全員の仕事だ」としているので、みんな協力してくれています。いわゆる「全員採用」が広まらない企業の多くは、各事業部の人たちが、事業を成長させるための戦略に「人を採用する」という選択肢を持っていない場合ですよね。
「採用は人事がやってくれる」「人を供給してくれる機能は人事が持つべきだ」と考えている場合です。
例えば、何かを良くしていきましょうというときに「戦略を実行するためにどんな人が必要か」という点がすっぽり抜けている場合があるんですよ。正直、人がいれば解決できる問題なんて山ほどあったりするので、まずは人の採用を各事業の戦略に入れ込むべきだと思います。
ただ、採用に必要なペルソナの作り方や、情報発信の仕方、面接の仕方などの知識やスキルは、バックアップが必要なので、人事がプロとしてサポートすべきだと思います。
各事業部の戦略上必要なターゲットに対してちゃんとアプローチしていけるように、人事と各事業部の社員がタッグを組めるといいと思います。
――確かにそれはすごく大切ですね。
武藤:これは僕が今まで見てきた中でのコンテンツを企画する際の失敗例の話ですが…
「採用マーケティングをやりたいです、だからこんな1年間の企画でやります、予算はこれくらいです、KPIは応募と入社が何件です!」と最初からギチギチに決めてやろうとすると、施策そのものがうまくいかない可能性が高いですね。
なぜかというと、目的を持つことはもちろん大切なのですが、まだやったこともないのに目標やKPIをギチギチに決めた瞬間に、「業務」になるんですよね。
この辺の線引きが難しいと思っていて、もちろん仕事としてみんなでコミットするのは大切なんですが、業務としてコミットし始めると、誰かにタスクが集中し始めるんですよ。となると、コンテンツがうまくいった、いかないとか、1回のイベントで投資対効果が測れた、測れなかったみたいな話も、責任が特定の人に集中していくんです。
そうなると、やっぱりプレッシャーがかかるし、その人一人で伝えられるコンテンツや熱量には限界があります。そして、どんどん「担当者」にされた人の熱量が下がっていくんですよ。
自論ですが、採用マーケティングでイベントをやるときの感覚は「お祭り」と結構近くて。最初は、「こういうのが俺ら好きだし、こういうのが面白いから、こういうお祭りにしようよ!こんなコンテンツにしたら面白いんじゃないか!」もうなんなら、「ピザパーティー飽きたからタコスパーティーにしようぜ!」みたいな、そういう始まり方でもいいんですよ。それでも、5人とか、10人集められたりします。そのくらい軽いほうが人は来やすいんですよ(笑)
なので、コンテンツの中身ももちろん大事なんですが、最初は「情熱」をもって始めて、やってみて効果が見えてきたら、ちょっと冷静になって予算を確保したり、運用体制の設計をつくりこんでいけばいいと思います。そういう「整備」はあとで大丈夫なので、最初は目標を決めすぎず、情熱をもって面白そうなことをやってみる!でいいんだと思います。
運営側が盛り上がっていないお祭りなんて行きたくないじゃないですか。これは採用においても大事な感覚だと思います。
採用マーケティングを、「コスト」と捉えるか「必要投資」と捉えるか
――仰っていることはわかるんですが…とはいえ、人事だと予算をとるためにはKGI、KPI、ROIなんかも求められますよね?
武藤:もちろん。最初にKPIと予算をがっちり決めなきゃいけないっていう企業さんがいらっしゃったら、めちゃくちゃ戦略を練るというやり方でTECHPLAYが伴走します(笑)
採用マーケティングをやりたいと思っているキーマンを一人見つけて、その人と「上司に、どんな効果があることを伝えたら理解してくれそうか?」という設計から伴走しています。
油谷:もし採用マーケティングをするのであれば、今までの採用活動との時間軸の違いは認識する必要があると思います。
例えば、上司から出てくるお題が「3か月で成果が出る採用施策を打ってください」だとすると、人材紹介を利用すれば転職意向のある顕在層にアプローチすることになるので「3か月で採用するために今月何人推薦してください」という話ができます。あとはエージェントの腕次第で。
一方で、採用マーケティングは3か月とか短期での時間軸では採用に至らないっていう前提です。そもそも転職活動をしていない人たちに、認知してもらってから入社してもらうまでの時間軸はもっと長いはずで、そのスタンスに立てるかは重要ですね。
効果を実感するタイミングでいうと、今日声を掛けた人が1年後とか2年後に入ってくれて事業成長に大きなインパクトを与えてくれたっていう成功体験を僕たちは持っています。だから、転職意向がない現職で活躍している優秀な人たちに、早い段階で接点をとるために投資をしていくことがどれだけ重要かもわかっています。
企業の人事…特に意思決定をする人事部長など役職のある立場の人は、短期では効果がわかりにくいが価値ある採用施策に、長期で投資する意思決定をするか否か、判断が求められる時だと思います。
――そういう時間軸で考えると、イベントやSNSで出会った後、どう接点を取り続けて転職意向があるタイミングを把握するのかって、すごく重要ですが難しいですよね。
油谷:そうですね。タレントプールを運用すると、最初に接点を持ってから選考に繋がるまでになかなかステータスが前に進まない期間があるんですよ。
武藤:めっちゃありますね。
油谷:この期間にいかにちゃんとコンテンツを厚くできるかが重要なのは前編でも話しましたが、候補者個人にストレスを与えないベストなタイミングで、どんなコンテンツを届けるのがいいのかは、各社で実績とデータを貯めて科学していかないといけないし、難しいところですね。
最後にメッセージ
――最後に、採用マーケティングでより自社に合うターゲットにアプローチしていきたいと考えている人事の皆さんへアドバイスをお願いします。
武藤:やっぱり、最初の一人がすごく大事だと思います。コンテンツをつくるのって実はそんなにコストはかからないし、一人でも始められる。別にこれは人事じゃなくても、本当に必要な優秀な人を自分のチームに採用したい各事業部のエンジニアや営業などの社員でもいいと思います。
最初の一人が発起人になって、だんだんその活動の輪が大きくなっていったときに、だんだん効果として得られるものが大きくなってくるものです。
予算がないとか、理解がないとか、協力者が見当たらないとか、そういうのはだんだん解消されていくものだと考えて、もし本気でやる意思があるのであればまずはやってみてほしいです。なので、まずは5人のタコスパーティーから始めてほしいなと思います(笑)
油谷:一つは、社員に協力してもらう前提なのであれば「この会社でしかできない味付け」が絶対あるので、それを大切にしてほしいと思います。採用界隈には「こういうことをやるべきだ」という情報で溢れていますが、それを鵜呑みにして自社の「味」とズレた味付け(施策)をやっても、結局社員が協力してくれないということが起きると思います。
自社にとっての最適なやり方は会社のことをよく知っている人事でしかわからないと思うので、「こういうやり方なら社員も協力してくれそうだ!」というやり方を見つけてほしいです。
二つ目は、「なぜやるのか」を突き詰めたほうがいいと思います。
例えば、コストダウンが目的なのか、コストはかかったとしても優秀な人を採用したいのか。採用マーケティングって、採用にかかるコストはかかっていないように見えるけど、実際社員の稼働などを考えるとしっかりコストはかかっています。
それでもAzitは、今まで通りの採用活動をしていても採用できない優秀で自社にフィットする人を採用するために、やるべきだと思ってやり続けています。
コストダウンという文脈だけなのであれば、別に最適な方法もあるかもしれないので、「なぜやるのか」は最初にちゃんと設定したほうがいいと思います。
取材後のおまけ ~イベントあるある~
~懇親会の前に会場の椅子を動かすと、懇親会参加率が30%下がる説~
武藤:メインコンテンツの後に懇親会もついているイベントが多いけど、懇親会の前に会場の椅子を動かすと懇親会参加率が30%下がる説あるよね。(TECHPLAY調べ)
――えっ、そんなに下がるんですか?!
油谷:区切っちゃうとダメだね。
武藤:そう。イベントの後半って、みんなもうちょっと帰りたいんだよ。
休憩は講演と講演の間にちょっと挟むといいよね。そうすると、後半の講演も聞きたくなるし、そのままの流れで懇親会も参加してくれやすいんだよ。
~イベントで「採用しています!」という文脈はちゃんと出したほうがいい説~
油谷:最近の仮説で、イベントでは意外に「採用しています!」っていう情報は出したほうがいよね。
採用文脈を出さずに「みんなで交流できたらいいな~って思っています!」みたいなイベントをやった後アンケート結果で、意外に「もっとAzitのことを知りたかった」とか普通に出てくるので、最近は堂々と自社の説明を20分くらいやって、「まじで人が必要です!!」って普通に言ってる。
――確かにそのほうが参加する側も気持ちいいですね…!武藤さん、油谷さんありがとうございました。
(実は前職の同期で、仲良しなお二人でした!)
(構成・取材・文:塚本 ひかり)
(写真:小林 洋平)
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転職意欲が顕在化する前の潜在候補者の情報を蓄積・可視化し、「認知してもらう段階」から「志望度を上げる段階」のコミュニケーションプランを設計、採用まで繋げる仕組みを提供します。
サービスサイト:https://www.hito-link.jp/crm/
資料ダウンロード:https://www.hito-link.jp/crm/download
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