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大きな組織戦略のストーリーの中のOKR導入と活用

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左から経営企画グループシニアマネージャー舘林亮太朗氏、取締役 COO沢村俊介氏

創業6期目を迎える株式会社ゲームエイトは、月間3,000万人が利用するゲーム攻略メディア「Game8」の運営をメイン事業に、様々な事業を展開しています。

成長拡大期にあるゲームエイトでは、2018年10月から新たな経営戦略のもと組織改革や人事制度の導入を進め、2019年4月からはOKRによる目標管理を導入しました。

経営戦略の大きなストーリーのなかでOKRの役割をどのように位置づけて導入を進めていったのか、導入後はどのように事業戦略や人事制度に溶け込ませて運用しているのか、取締役 COO沢村俊介氏、経営企画グループシニアマネージャー舘林亮太朗氏にお話を伺いました。

聞き手は、目標管理ツール『HITO-Linkパフォーマンス』のカスタマーサクセス担当のパーソルプロセス&テクノロジーの伊藤紗恵が務めます。

事業拡大を見据えて、組織改革の実行を決意

―まず、御社の事業について教えていただけますか。

沢村:ゲームエイトは2015年にニュースキュレーションアプリ「グノシー」を中核事業とする株式会社Gunosy(東京証券取引所一部上場)のグループに加わりました。ゲーム攻略メディア「Game8」の運営を中心に企業のマーケティングサポートも行っています。またマーケティング支援の一環で多くのクリエイターが所属する「ハニスタ」というクリエイター事務所の運営も行っています。

―社員の構成はどのようになっているのでしょうか。

舘林:元々、社長の西尾が前身の会社の事業売却をし、何か新しくできることはないかという経緯でゲーム好きの人間が集まって始めた会社のため、ほぼ毎月アルバイトの方が入社し、一定のスキルを身に付けた後に、多くの方が契約社員、正社員へ昇格しています。

沢村:ゲームという特殊な領域ということもあり、いわゆる一般的な就職をしなかったメンバーを中心に、ここまで成長してきた会社というとわかりやすいかもしれません。現在のマネージャーの半数以上が最初はアルバイトで入社した社員です。

―アルバイトの方が正社員となっていく動きは、いつごろから始まったのでしょうか。

沢村:事業の成長に伴って、創業2,3年から徐々に正社員化をしていきました。ただ、それだけでは事業の成長に対して人の成長が追いつかなくなってきたため、ここ1~2年くらいは外部から経験者を呼んで組織体制を強化しています。

―沢村さんも約1年前に入社されたのですよね。

沢村:はい。私は2018年9月に入社しました。舘林もその1年後くらいですね。

事業に対して最初に感じたことは、ゲーム攻略マーケットは非常に変化が激しい市場で、5,6年前にできたばかりのマーケットのはずなのに、すでに成熟期にきているということでした。今後は残マーケットの白地をいかに確保するか、第二の柱となる新規事業をつくれるか、が勝負となり、想像よりも厳しい戦いになりそうだと感じていました。

―そういった背景もあり、組織改革を進めていったということなのですね。

沢村:そうですね。当時の組織体制では、これ以上の事業拡大難しいと感じたことがベースにあります。

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事業部制の導入と責任者の抜擢

―組織改革はどのように進めていったのでしょうか。

沢村:2018年9月に着任してすぐに社員へのインタビューから始めました。インタビューをベースにした組織診断の結果を、7Sのフレームワークで整理し、まずハード面の「Structure(ストラクチャー)」からテコ入れしていくことを決めました。

―7Sで整理をした結果、課題がある部分から手を入れていったのですね。

沢村:はい。「Structure(ストラクチャー)」とは『組織構造』を指すのですが、まず組織改革で構造の基礎を固め、次に「System(システム)」つまり『組織の制度・仕組み』である人事制度や目標管理制度(OKR)の箱を作り、同時に運用するために必要な人材の抜擢と育成を並行して行いました。

半年間で組織としての基盤を固めたうえで、従業員のスキルを中期的に改善していくというストーリーで全体を設計していったという形になります。

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―「Structure(ストラクチャー)」の『組織の事業構造』改革をどのように進めていったか教えていただけますか。

沢村:まず、2018年11月に事業部制を導入しました。当時の組織は「創業部門」と「それ以外」という分け方になっていて、創業部門はコンテンツ制作の部門だったのですが、それ以外の部門は、特に意図がなく集められている状態でした。責任者がいても役割分担が不明瞭で、誰が何の目標を持っているかもわからない状態でそれぞれが自由に動いていました。

自身の経験上も、ジュニアメンバーの役割が不明確なままそれぞれが自由に動く状態が続くと施策の粒感にバラツキがでてきて、会社の目指す方向と結果的にずれていくと思っていましたので、この構造を整える必要があると考えました。

そこで、まず提供価値をベースに事業部として分類し、それぞれの事業を更に製造と販売に分ける製販一体型の組織としました。目指す目標がシンプルになったところで製造と販売それぞれに最重要KPIを設定し、どの部門がどのKPIにコミットするのかを明確にしていきました。

事業部制とした理由は、収益管理の側面だけでなく、事業の方向性に対して会社の意思を明確にしていきたいという狙いもありました。

―次に「System(システム)」つまり『組織の制度・仕組み』の整備を進めていったということですね。

沢村:はい。部門を分けてKPIを設定してもそこに責任者がいなかったので、そこから約10名をマネージャーとして抜擢しました。ただし、当然誰もマネージャーなどやったことがないメンバーなので、やり方がわからないという状態になります。そこで2019年1月~3月にかけて外部のマネジメント研修を受講してもらいました。基礎的な「マネジメントとは」といった内容から、「マネージャーの役割としての、短期業績管理・中長期の種まき・部門ミッションの達成」といった目標管理を視野に入れた内容で、集合研修とWEBラーニングの3か月のプログラムを全員に受講してもらい、マネージャーとして立ってもらえる土台を作っていきました。

ミドルマネジメントを通じて全体ワークさせことがこの組織戦略でKEYとしているところです。

―人事制度はどのように変えていったのでしょうか。

沢村:組織改革→マネージャーの抜擢といった形を整えていくと、他のメンバーからは、「どうすればマネージャーとなれるのか?何が評価されるのか?給与体系はどうなるのか?」といった声が出てきます。そこで「どこに向かって走ればいいか?」を明確にするために会社と組織のOKRを設定し、その成果の受け皿として人事制度(等級制度、報酬制度、評価制度、目標管理制度)を設計しました。人事制度自体は事業部制の導入、マネージャー研修と並行して半年間くらいかけて設計し、2019年3月に従業員への説明会を実施しました。

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ビジョンと実行を担保するフレームとしてOKRを採用

―やっとここでOKRが出てきました。笑 OKRの導入は初めから決めていたのでしょうか?

沢村:はい。お待たせしました笑

OKRは何年か前から気になってはいました。当社に着任し、現場の施策が会社の方針と違うベクトルにしばしば振れていくこと気になったことからも、全体から一貫してビジョンを打ち出せるものが必要と感じていたので、あまり迷わずOKRを選びました。

―沢村さんはOKRの魅力をどのように捉えていますか?

沢村:まず戦略全体からの設計ができるところでしょうか。加えて、私は経営に必要なことは、経営リソース分配の意思決定だと思っているのですが、その次に必要なのは、戦略実行の純度を担保することだと考えています。OKRのフレームは実行フェーズにおいても非常に有効であると感じています。

―OKRの良さは、戦略の全体設計から実行まで一気通貫で管理できるところ、といった感じでしょうか。

沢村:そうですね。OKRの面白いところでありいいところだと思っているのは、少しゆらぎが残っているところです。Tobeの状態をObjectiveに設定して明確化することで、Oに向かったアクションでさえあれば、個人の自由度が残されています。

ウォーターフォール的な体系を保ちながらも、個人がクリエイティビティを発揮できるという思想が素晴らしいなと思っています。

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―御社のOKRは組織OKRの粒度がよく揃っていると感じています。何か設定のルールなどはあるのでしょうか?

沢村:実は2018年10月にはOKRの導入を決めていたので、事業部制の移行を実行しながら、全組織分の仮のOKRを一人で作ってスプレッドシートにいれました。まずは雰囲気を掴んでもらおうと思い、部長やマネージャー陣に見せながら2019年4月の本格導入に繋げていきました。

2018年下半期はOKRの構造や考え方に慣れてもらう期間として、2019年上期は各部門責任者に考えてもらったものを話し合って修正し、また話して修正し、を各部門4往復くらいして確定していきました。

―沢村さんがすべての組織のOKRを見ることで目線が合って粒度が揃っていくのですね。

沢村:OKRはコツさえつかめればそんなに設計は難しくないと思うんですよね。当社では、objectiveは必ずメンバーが覚えられるものにしようとしています。例えば、経営企画の前々期のOは「存在感を出す」でした。当時は経営企画ができたばっかりだったので、まず社内に認知されることが必要だよねとなって、2年目の若手社員でも「存在感出します!」と元気に言えるものがいいなと思い設定しました。長すぎたり、ダサかったり、どこでも使えそうなやつは無しということは部長陣には伝えています。いまでは設定はほとんど部長に任せています。

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―Key resultsについては何か基準はあるのでしょうか。

沢村:KRは具体的でmeasurableなもの、というのは当然ですが、事業部のKRは売り上げだけでなく、中長期の種まきとなるような要素を入れつつ、売上利益といった重要KPI入れています

―OKRはストレッチ目標という考え方があるかと思いますが、KPIを入れることで何か不都合はありませんか?

沢村:OKRのムーンショット的な思想は理解しつつも、我々に合った形で取り入れることが重要だと考えていますので、組織の成熟度を踏まえてKPIは現実的なものを入れています。

結局のところ、全体の目標のレベル感があってさえいれば、ストレッチだろうと現実的だろうと問題ないと思っているので、目線を合わせることは非常に大切ですね。そこは今でも私が見て目線を揃えるようにしています。

―御社ではメンバーの個人OKRは立てていないと思うのですが、今後個人OKRまで立てていくことは考えていますか?

沢村:現時点で答えは出ていないですが、個人までできるといいなとは思っています。上位概念の組織OKRとのすり合わせのディスカッションがあって、それをベースに個人OKRを考えて上長と壁打ちをしていく、ということができれば立てられると思っています。

ただ、現状そこまで組織が成熟していない状態でメンバーまでOKRの浸透は難しいと思うので、今は組織OKRまでとしています。

舘林:当社では組織のOKRをベースに個人のMBOを立てていますので、OKRとMBOを当社なりに紐づけて一貫した設計にはなっています。MBOで個人まで落とすことで、OKRが絵空事ではなく地に足がついたものになっていると思います。

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―ありがとうございます。組織OKRの運用方法についても教えていただけますでしょうか。

舘林:組織OKRを週に一回部長が更新するルールとしています。その際部長は細かい進捗状況をマネージャーに確認しています。それを週一の経営会議で、アジェンダの一番目としてOKRの状況確認をします。具体的には全社OKR進捗状況をHITO-Linkの画面を使ってみていきます。

沢村:経営会議ではまず一番最初にOKRを見ることを徹底しています。「この半期、我々は何をしたいんだっけ」ということをボードメンバー全員でOKRを見て確認します。みんなで意識を高めてこれを追っていくんだよねという認識のすり合わせが目的です。

今期の会社のObjectiveが「ワンゲームエイト」なんですが、「この施策ってワンゲームエイトになってるんだっけ?」というコミュニケーションをしています。時にはこじつけになることもありますが、「ワンゲームエイト」を達成するためにはこういう数字が必要だよね」という考え方でKRに繋げています。

―この1年間の組織改革や制度設計、OKR導入などにより、組織が良くなったことや変わったことがあれば教えてください。

沢村:まだまだ完全ではありませんが、全社の戦略と現場の施策のブレがなくなったのが一番大きいと思っています。メンバーは最上位のOKRまでは理解していないかもしれませんが、最低でも1つ上位のOKR意識できていると思うので、流れに沿うものになっているとは感じています。

現在、人材マネジメントポリシー作っているのですが、テーマとして経験学習の促進によるエンプロイーエクスペリメントの最大化」を考えています。そのために経験デザインからアサインメントまでを高速で回してくことを考えているのですが、そのフレームとしてOKRを位置付けたいと思っています。

―全社からの戦略の一貫性を担保するということだけでなく、メンバーの成長支援の手段としてもOKRを使っていくということでしょうか。

沢村:はい。いままでは戦略の一貫性を保つことをOKRの目的としてきましたが、次のステージとしてメンバー育成のツールとしてトライしてみようと思っています。OKRに沿った挑戦をし、その結果を振り返って概念化してまたトライする、という経験学習の流れに乗せたいです。

―ありがとうございます。最後にこれからOKRを導入される企業や担当者の方へアドバイスをお願いします。

沢村:組織のフェーズや事業環境によっても変わってくるとは思いますが、OKRはHOWのフレームの一つでしかありません。『なぜOKRのフレームを採用するのか』のWHYとWHATが大事だと考えています。「無邪気にOKRやろうぜ!」は多分失敗する可能性が高いのかなと。大きな組織戦略のストーリーを描きながら自社に合った形でOKRを導入していくとうまくワークするのではないかと思います。

―本日は大変貴重なお話をありがとうございました!

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