「ニッポンの人事部長」でおなじみパーソルグループの中で、ITソリューションの中核企業であるパーソルプロセス&テクノロジー。私たち組織づくりベース編集部が所属している会社でもあります。
前回は弊社目標管理(OKR・1on1)ツールHITO-LinkパフォーマンスのチームメンバーからOKRについて話してもらいました。【前回記事】:チームを超えたOKR運用のコツ!私たちのしくじりOKRについて語ります~導入・定着の失敗から成功まで~
今回は採用管理ツールHITO-Linkリクルーティングのメンバー座談会をお届けします。HITO-Link リクルーティングに関わるメンバーに集まってもらい、OKRに関するタイムラインを振り返りながら本音を語ってもらいました。
ぜひみなさんのOKR活用のお役にたてれば幸いです!
HITO-Linkリクルーティングってなに?
まずはプロダクトとチーム構成について簡単に。
まず大きな組織としてHITO-Link開発部という組織があり、その中では主に2つのプロダクトを開発、運用しています。
■HITO-Link パフォーマンス
・OKRや1on1の運用を簡単に行うためのツール
■HITO-Link リクルーティング
・採用の業務を楽にする採用管理システム
HITO-Linkリクルーティングのチームは以下のような役割のメンバーがそれぞれいます。今回はそれぞれの役割のメンバーに参加してもらいました。
座談会参加メンバーの紹介
HITO-Link リクルーティングのOKRタイムライン
座談会で話してもらった結果HITO-Link パフォーマンスでのOKRはこのようなタイムラインとフェーズにわかれていました。
このタイムラインにそってHITO-Link パフォーマンスチームのOKRがどのような変遷だったかをご紹介いたします。
OKRの決め方から悩んだ導入期。最初は「OKRをちゃんと決める」というOKRだった。
ーーまずは2018年5月にマネージャーだけでOKRをスタートしたとあるのですが全く浸透していなかったんですよね。マネージャーの松本さんこの時はどうでしたか?
(苦笑いしつつ)まずはマネージャー陣でOKRに関する書籍を読んでディスカッションして決めてみたんです。で、とりあえず一旦メンバーに発表してみたんですけどみんな「何それ?」って反応でしたね(笑)
やり方は走りながら考えようと思っていたので、こういう運用プロセスにしようってのは決めてませんでした。メンバーに向けて目的とかOKRってこういうものなんだよってのはちゃんと説明できなかったので、やはり浸透しなかったという感じでしたね。
ーー2018年10月に部内の取り組みとしてOKRを改めてスタートしたとありますが、この感じだとまだみなさんピンときてなかったですか?
そうですね。まだこの時にはピンときてなかったと思います。どんな内容だったかな…?
たててましたOKR?
たててたはずですよ!
いやHITO-Link リクルーティングチームでは「OKRをちゃんとたてよう」っていうOKRだったんですよ。
一同:(笑)
私たちの開発サイドとビジネスサイドがすごく溝があったんです。さらに営業チームは当時事業部も別だったんですよ。
なので、そもそも構造的にも文化的にもコミュニケーションをとるのが難しかったんですね。
営業としては頑張って案件をとってきてるつもりなのに、開発サイドは「またいそがしくなるよ…」みたいな雰囲気で。そんな状態だったので、すぐにOKRを設定するってことにはできなかったのかなと思います。
ーーこれはビジネスサイドも開発サイドもどちらも悲しい状態ですね…
OKRどころかバグがあると「〇〇(メンバー名指し)バグだぞ」なんていうピリピリした雰囲気
ビジネスサイドと開発サイドの溝もなんですけど、僕たちの場合はエンジニアの中でも保守と開発という役割が分かれていて、そこにも溝があってすごくピリピリしていたのが正直なところでして…
障害が起こると「〇〇(名前)バグだぞ」なんて感じで、名指しされてしまうようなとてもよくない雰囲気だったんです。
ーーこれはつらい…そのときはマネージャーはどう見てました?
チームが完全に縦割りだったこともあってチーム感のコミュニケーションがうまくとれていなくて、起こっている問題に対してではなく、人に対して指摘をしてしまうという時期があったのは確かです。OKRを運用するにはそもそもそういう組織の文化や風土を改革する必要があるなという危機感がありました。
そこで11月にビジネスサイドも開発サイドもカスタマーサポートも全員集まって「もやもや会」というのをやりました。組織で一丸となるために、まずはメンバーそれぞれが考えていることを吐き出す場を作ったんです。
自分たちがなぜこういうプロダクトを作るのかという全体方針もない状態だったんです。それをちゃんと決めよう、そのためにまずはメンバーに思いを吐き出してもらおうというのが「もやもや会」のはじまりですね。
そういう始まりだったこともあってOKRとのひもづけはこの時点ではまだできていなくて、会を重ねた結果としてひもづいていったという感じでした。
OKRワークショップを行い本格導入するもまずはチームとしての目線合わせが優先
ーー「もやもや会」が11月にあって、その後12月にワークショップを行い自分たちでOKRを考えて決めたとありますがチーム全体としてはどうでした?
このときはじめてHITO-Link開発部全体でワークショップをやってOKRの背景とか目的とかを全体で認識できたとは思います。
やっぱり自分たちで主体的にOKRを考えるというのは大事だったなと思いますね。
といってもそれでいきなりOKRの運用が浸透したかというと微妙なところでしたね…この時期はまだみんなもやもやが続いていたと思います。
「Oはワクワクするものを考える」という話がワークショップで出てきたんです。
だけど、チームとしての目線を合ってない今の状態ではワクワクなんてできないだろうということを感じていました。
なので当時のOKRは「エンジニア、サポート、セールスの全員がビジョン、ロードマップに合意できている状態にする」というメンバーの目線を合わせること自体を目標にしたものでしたね。
ーーなるほど。エンジニアメンバーはどうでした?
エンジニアチームでは一応ちゃんとKRもたてていて、追いかけてはいました。この期では「機能改善を15件」というのがKRで、みんな納得してやってはいました。でも結果としては3、4件くらいしか達成できなかったんです。かなりビッグマウスでしたね(笑)
エンジニアの悪い癖なのかもしれないんですが、締め切りが設定されているタスクを優先してしまってKRに紐づく作業の優先度が下がってしまうんですよね。なので、自分はKRに関する作業をメインでやるように意識して動いてはいました。
ーー営業チームはどうでしたか?
営業ではKRが売り上げ達成みたいな普通のKGI、KPIという話になってしまってました。
会社としてMBO(※1)で設定した成果目標をKRとして追っていたというだけだったんですよね。
もともとある会社の文化とOKRという仕組みをどう棲み分ければいいのかという疑問はありました。
(※1)パーソルプロセス&テクノロジーでは半期ごとに個人が目標設定をし、それを評価して給与や賞与に反映させるという形のMBOを導入している。
評価制度とOKRのバランスについては試行錯誤中
ーーカスタマーサポートチームではどうでした?
12月のワークショップでOKRの立て方とか重要性はやっと理解できたという感じですね。
この後1月以降でも何回かもやもや会をやっていたので、だいぶみんなの意見は吐き出せていてチームの状況は改善してきたんですけど、OKRについては会社で設定するMBOと両方追わなきゃいけないのでどう違うの?という気持ちはありましたね。
OKRとMBOの内容はリンクさせているので、まったく違うものにはならないんですけど、単純に作業負荷が結構あって…
ーー評価制度とOKRをどう両立するかというのはよくある壁のひとつだと思うのですが、組織としてなにか工夫していることはありますか?
私たちもまだ悩みながらやっている状態ですね。今も課題だなと思っています。MBOとOKRで単純にタスクが増えて工数がかかってしまうというのは牧野さんが言った通りです。
全員がすっきり納得できるようにどう棲み分けるかというのは試行錯誤をしてますね。
エンジニアチームではOKRとMBOの連動のさせ方をちょっと工夫してます。
まずエンジニアはチームで開発するものなので、個人のKRは設定せずにチームのKRだけを見るようにしました。
合わせて、MBOの成果目標はチームのKRとイコールにしています。でもそのチームのKRが達成できなくても個人の評価には関係ないようにしています。
隔週でやっている1on1などのコミュニケーションで、個人の良かったことや悪かったこと、それが改善できたか、というところを聞いてそれを評価としてフィードバックするようにしています。
もやもや会・ウィンセッションを重ねることで今までは考えられないくらい雰囲気がよくなった
HITO-Link リクルーティングチームが行っているウィンセッション
ウィンセッションは隔週でやっていて内容はこのようなものです。
①各チーム(営業・カスタマーサクセス・マーケ・開発)ごとの2週間の振り返りと成果をプロダクトマネージャー(PM)が事前に取りまとめてHITO-Linkパフォーマンスに入力する。
②2週間の成果をひとりずつ発表し、拍手で称え合う。
③ビジネスサイドのメンバー、開発サイドメンバーお互いにHITO-Linkパフォーマンスの機能である「フィードバックコイン(※2)」を送りあう。
(※2)フィードバックコイン:「Excellent」「Thank you」「Good」「Feedback」のコインを選び、コメントと共に送り合うことができるHITO-Link パフォーマンス上の機能。ピアボーナスとしても利用できる。(https://www.hito-link.jp/performance/)
【ウィンセッションの様子】
今はこうですけど、最初はもやもや会もやりながらだったので内容も試行錯誤してました。
ーーメンバーのみなさんはどうでした?
当初はもやもや会とかウィンセッションで、毎週のように2時間くらい予定を確保されていて、正直「この時間仕事できるのに」と思いながら参加していましたね(笑)
最初はエンジニアのメンバーの話が聞けるのは良かったんですけど、自分の業務とうまく接続できてなかった気がします。
でも今のウィンセッションではみんなで共通のOKRを追っていて、開発状況とかサポートのコンディションとかもわかって、それを私たち営業がお客さんに伝える材料になったりしていて、自分の業務にも接続できるようになってきました。
ーーやはりチームでの一体感みたいなものがウィンセッションによって出てきているんですね。エンジニアチームはどうでしょう。
杉浦さんと同じで最初は「2時間しんどいな…」と思ってたんですけど、たしかに他のチームがどういうことをやっているとか、今どういう課題があってというのが見えるようになったのはとても良かったです。
他のチームとか全体が見えるようになることによって、リクルーティングチームの中で自分が何をすべきかなんていうことを考えるきっかけになりましたね。
今までは開発の部分しか見てなかったんですけど、プロダクトをどうやって売るのかというビジネスサイドのこともだし、どこのチームが今赤信号というコンディションも可視化できてチームを超えて協力できるようになったのは大きいと思います。
ウィンセッションの中で、チームの方針とチームのコンディションを共有しようというフレームワークを定めたんですよね。
OKRの進捗と、今週この先やること、チームのコンディションというものを発表しようということで、それによって個人が全体間を把握できてチーム感を高めるという助けになっているという気がします。
ビジネスサイドからしてもチームの稼働状態とかコンディションを知った上で作業を依頼できるのですごくやりやすくなりましたね。
いや本当にチームの雰囲気は1年前くらいのピリピリした状態から考えられないくらい良くなりました。
実際あったのはみんなが話してくれたチームのコンディションを発表していく中で、「最近カスタマーサポートの稼働が増えている」という話がでて、「じゃあ開発のメンバーがカスタマーサポートを手伝おう」みたいな動きになったんですよね。あの時代からは考えられない進歩だと思います(笑)
あのころはもやもや会とか行くの嫌でしたもん(笑)
組織やサービスづくりの手法と役割の認識をそろえることが重要
ーーやはりチームでの一体感みたいなものがウィンセッションによって出てきているんですね。エンジニアチームはどうでしょう。
エンジニアチーム独自のイベントとして「スプリントレビュー」(※3)というのがあります。
これも以前は指摘をしあう場になってしまっていて、雰囲気がピリピリしてしまう要因でもありました。
なので名前を変えて「スプリントセレモニー」にしようみたいな話もあったんです。レビューという名前がよくないんではみたいな。
(※3)スプリントレビュー:スプリントレビューの目的は、インクリメントを提示することで、フィードバックや協力を引き出すことです。
もともとエンジニアチームが取り入れていたスクラム開発という手法とOKRは思想が近くて親和性高かったんですよね。でもエンジニアチームは開発はスクラムでやってるんですけど、保守はいわゆるウォーターフォールなのでそこの思想がコンフリクトしていたということもありますね。
OKRを浸透させるためにはエンジニアリングという観点でも文化や風土の改革が必要だと感じましたね。
レビューという名前なので、じゃあ指摘しようという感じだったんですけど、回を重ねていってみんながスプリントレビューとかOKRとかウィンセッションの役割を理解して、共通認識になってきた気がします。
ーー「レビュー」となるとプロダクトの改善のために指摘をするというイメージですが、OKRやウィンセッションはチームのパフォーマンスを改善するという文脈ですもんね。各コミュニケーションの役割の認識をそろえることが重要なんですね。
そうですね。あと一年前はそもそもみんなが集まるっていう機会が一切なかったので、回を重ねるごとに何をしたらいいのかわかってきた感じはありますね。
単純にコミュニケーションの量が増えたというのも大事だったんだと思います。
これからHITO-Link リクルーティングチームが目指すOKRとは
ーーでは最後に各グループのOKRのこれからについて聞かせてください
プロダクトオーナーとしてはもうちょっと全体を意識できるようなものにしていきたいなと思ってます。
今のOKRも個々でみるとちゃんとコミットメントできるようなものにはなっているんですけど、全体を俯瞰して統一感があるかというとまだ余地はあるかなと感じています。
営業ではこの4月からのKRは前期までのような普通のKGI・KPIにならないように、セールスのメンバーが自分たちで考えて決めたんです。
どこがセールスのボトルネックなのか内省して考えて、そこにコミットするというのは今までの目標ではできていなかったので、これはとても意味があることだと思ってます。
ーーエンジニアチームはどうでしょう?
ユーザーにワクワクするものを提供するというところが一番の目標ですね。
組織としては雰囲気も良くなって回ってきているので、次のフェーズはビジネス的に成果を出さなければと思っています。
さっき出ましたが開発と保守が分かれていることでコンフリクトがあるという話もあって、今は保守と開発が同じチームになったんです。それによって今までよりもスピード感をもってお客さんの声をプロダクトに反映させたいですね。
ーー1年前の姿を見ていないものの、本当に今は良い雰囲気でチーム一丸となっている感がありますね!HITO-Linkリクルーティングチームのみなさんありがとうございました!
編集後記
今回の座談会で最も特徴的なのはやはり「チームの雰囲気が悪い」という当事者だったら胃が痛くなるような課題があったことでしょう。
OKRは手段でしかないため、そもそも組織の文化や風土に「チーム一丸となってビジネスを良くしていこう」というものがないと意味をなさないのだなと改めて感じました。当たり前のようなことですが、文化や風土を変えることはとても力のいることで、一朝一夕ではいかないというリアルな部分がたくさん聞けて非常に興味深い座談会でした。
OKRというのはチーム間や個人間の細かいコミュニケーションが重要な仕組みです。当時のHITO-Linkリクルーティングチームで最も足りなかったコミュニケーション部分が改善されたのもOKRを取り入れようという動き自体が貢献していたのかなと思います。
またOKRあるあるですが、「評価とどう棲み分けるのか」という問題が出てきたことも印象的です。全員が納得できる評価というのはとても難しいものですが、これもOKRという手法を通してコミュニケーションが増えることが解決の一端になるのではないでしょうか。
実際OKRを運用している読者のみなさまも評価についてはお悩みがあると思うので、ぜひみなさんのOKRについても聞かせていただければうれしいです。
宮下 恵介
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