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MBOとは?目標管理制度の成り立ちと最新事例の紹介

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MBO(目標管理制度)は、P.F.ドラッカー氏が1954年に著書『現代の経営」で提唱したマネジメント手法です。米国の大手企業はもちろん、日本でも現在約8割の企業が導入しています。そこで今回は、MBOの歴史、メリット・デメリットをご紹介し、いま注目されている新たなパフォーマンスマネジメントについて説明します。

MBOの変容と歴史

MBOはP. F.ドラッカー氏やダグラス・マクレガー氏らによって提唱されたマネジメント理論です。本来、ドラッカー氏が提唱したMBO(Management By Objectives and Self-control)とは、社員自らが自分で目標を決めて取り組むことで社員のモチベーションアップを促し、それを企業の成果につなげるマネジメント手法であり、評価のための手法ではありませんでした。
ここではMBOが日本でどのように取り入れられてきたか、歴史を紹介します。

1960年代に日本でも一部の大手企業が導入

1954年に当時GE(ゼネラル・エレクトリック)社の顧問を務めていたドラッカー氏が著書『現代の経営』で提唱したMBOは、1960年代には全米の企業に大々的に広まっていきます。

1980年代に入ると、その効果が疑問視され見直す企業も増えましたが、業績評価手法として米国の多くの企業に定着していきました。この時点で、MBOは元々のドラッカー氏の理念であるマネジメント手法という考えから離れたスタイルで普及していったと言えます。

日本でも1960年代に、米国の影響を受けた大手企業の一部がMBOを導入しました。ただし、このとき日本の企業はMBOを評価手法としてではなく人材育成・モチベーション向上のために導入したため、MBOを昇格・賃金制度などに大きく反映することはありませんでした。

1990年代には多くの日本企業がMBOを導入

MBOが多くの日本企業に導入され始めたのは、バブル経済崩壊後の1990年代です。日本企業が、年功序列型の雇用制度から成果主義人事に舵を切った時代で、年俸制の導入や評価制度としてのMBO導入が進みました。

当時は社員側にも、横並びの昇格・賃金制度に対する不満や問題意識があり、成果主義、実力主義への転換はおおむね肯定的に受け止められていたと言えます。
また、当時日本企業が導入した成果主義人事制度は、米国モデルのように下位10%リストラするドラスティックなものではなく、従来の年功型雇用制度と組み合わせるマイルドな評価制度でした。

MBOの問題点が顕在化した2000年代

日本でもMBO導入後、各企業の現場では多くの弊害が出てきました。
2004年に城繁幸氏の著書『内側から見た富士通「成果主義」の崩壊」が発売され、それをきっかけにMBOに対する問題点が顕在化しました。
この時点で多くのコンサルタントや識者が、MBOは評価ツールではなくマネジメント手法であることを指摘しています。

2000年代後半からは、導入企業がMBOの問題点を洗い出し、自社でカスタマイズしながら本来の理念に近づけるべく努力をして定着させていきました。
結果だけでなくプロセス面も重視したり、育成面にウェイトを置いたり、より精緻な制度に改変したりなど各企業によって方針は違いますが、社員の納得度を高める評価制度を追求していきました。
2013年時点でMBOは88.5%の企業に導入されています(労政時報調べ)。

マネジメントのあり方が変わる2010年代以降

2010年代になると、米国の先進的なグローバル企業が人材マネジメントのあり方を激変させます。GE、アドビシステムズ、マイクロソフト、アクセンチュアなどの大手企業が、「ノーレイティング」という、従業員とのコミュニケーション重視のマネジメント手法に舵を切ります。

この動きは急速に広がり、2015年時点でフォーチュン誌掲載企業の10以上が年次評価を廃止しています。この新しい潮流は今後、日本企業の人材マネジメントにも大きな影響を与えると予測されています。

また、GoogleやFacebook、Intelなどの大企業が取り入れていることから注目を集めているOKRという目標管理手法も注目を集めています。

 

MBOのメリットとデメリット

日本企業がMBOを本格的に導入してから、約20年以上の歳月が経過しています。さまざまな問題点が指摘されていますが、少なくともMBOが導入されるまで、多くの日本企業では社員が自分で目標をたてられる仕組みはなく、評価の基準もブラックボックス化されていました。

人事評価の指標がオープンになり、評価プロセスが透明化された点は、社員にとってもMBO導入メリットの一つであったと言えるでしょう。
定期的な管理職との面談も、自分の方向性と企業の方向性をすり合わせる機会となります。評価制度としてのMBOの仕組みそのものはよくできており、管理職のコミュニケーション能力次第では、優れた育成ツールにもなります。

MBOのメリット

具体的に社員にとってMBOのメリットは以下のようなものです。

  • 取り組むべき業務が明確化されるため、効率がアップする
  • 自分で設定した目標に対しての結果を評価されるため、評価プロセスに透明性がある
  • 自分で目標設定ができるため、職務能力の向上につながる

しかし、MBOは運用の難しさに問題があります。
日米の多くの企業で似たような問題が数多く指摘されている以上、仕組み自体が実際のビジネスシーンに即していないと言わざるをえません。

MBOのデメリット

MBOの問題点としては以下のようなことが指摘されています。

  • 評価作業に時間がかかるため、管理職への負担が大きい
  • 数ヶ月前に立てた目標でさえ時代遅れとなりうるVUCA(ブーカ)の時代に対応できない
  • 社員のランク付けによりモチベーションが低下する
  • 相対評価により個人主義が助長され、チームワーク意識が低下する(優秀な精鋭ぞろいのチームであってもCランクと評価される状況が出てしまう)
  • 難易度設定における個人差により、適正な評価が難しい

厚生労働省の調査でも、MBOは評価のシステムとして社員の納得度が高いものの、社員のモチベーション向上、パフォーマンス向上にはつながっていないというデータが出ています。

(目標管理制度の実施と社員の働き甲斐や満足度に相関関係について:厚生労働省職業安定局による「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書」H26年5月)。

米で進むMBO廃止の動き。最新のパフォーマンスマネジメントとは?

タレントマネジメント、1on1やOKRなどがトレンド

前述したとおり近年、米国企業は「ノーレイティング(社員のS、A、B、C、Dなどのランク付けを廃止)」という価値観のもと、相対評価を廃止し従業員とのコミュニケーションを重視する最新のパフォーマンスマネジメントという概念を導入しています。

すでにGE、アドビシステムズ、Google、アクセンチュアなど、成果主義モデルのような企業がノーレイティング導入を開始しています。この影響は大きく、数多くの企業が追随しています。
また、個人の才能を生かす「タレントマネジメントシステム」も注目されています。社員の人間性尊重、社員の能力開発が、今の米国における人材マネジメントのトレンドであると言えます。

最新のパフォーマンスマネジメントにおいて、上司の役割は「評価」ではなく「育成」です。上司・部下の面談は、MBOよりむしろ回数が増えることになります。
その面談はOKRや1on1などの取り組みを導入し、面談では部下の自主性を尊重し、上司は部下の成長を促すための役割に徹します。必要があれば期初の目標も変更していきます。
このようなコミュニケーションを重視するパフォーマンスマネジメントは、MBOに変わる新しい手法として注目を浴びています。

【参考記事はこちら】:Googleも採用!目標管理手法「OKR」とは?無料で試せるツール3選

【参考記事はこちら】:1on1ミーティングとは?必要とされている背景や具体的なアジェンダの例

MBOの理念に立ち返るパフォーマンスマネジメント

なぜ、米国ではこれまでと180度転換したような取り組みがなされているのでしょうか?
一つには、米国の場合は相対評価で下位10%とランク付けされた社員をリストラするという厳しい成果主義がとられてきたことが理由にあります。
社員同士が協力し合わなくなったり、難しい仕事にチャレンジしなくなったりするなどの問題が起きていたのです。

そして、最も大きな理由は、MBOが本来の目的である企業の成果につながっていないという点にあります。
いまの米国企業は、成果主義を追求するために、社員を一人の人間として尊重し、上司と部下のコミュニケーションを大切にすべきだという価値観を持っています。これはむしろ、ドラッカー氏が提唱したもともとのMBOの理念に立ち返っていく動きだとも言えます。

従来のMBOではなく新しい目標管理制度や評価制度を取り入れた事例

様々な企業が思考錯誤しながら新しい目標管理や評価制度などを取り入れています。
組織づくりベースでインタビューした事例をご紹介します。

事業構造の変化に対応するべく会社のカルチャーを変革させたGE

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【インタビュー記事はこちら】:GEが9ブロックを廃止した理由。新たな人事評価制度「PD」の導入によって生まれ始めた変化とは。

9ブロックに代表される人事評価モデルを生み出し、HRの分野でも世界的に注目を集めているGE。
16年ぶりのトップの交代、9.11、世界金融危機などの要因から、GEの事業構造も大きく変化していき、会社のカルチャーを変革させる必要がありました。
そうした背景からさらに年次評価の廃止や1on1など様々な取り組みをしています。

MBOではなくOKRを導入したチャットワーク

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【インタビュー記事はこちら】:【OKR最前線vol.2】ChatWork流 「完璧を求めない」「カッコつけない 」理想の会社に近づけるためのOKR運用

目標設定の文化がなくメンバーの評価に統一の基準というものなかったチャットワーク。急速に事業・社員が拡大してく中で2017年からOKRを導入しました。
当初は「これではMBOと変わらないのでは?」という意見がでてしまうなど上手くいっていませんでしたが、自分たちの組織に最適な形を模索しながら運用していくスタイルはとても参考になります。

まとめ 

日本でもMBOの形骸化が指摘されながら、大きな変革はされないままの状態が続いてきました。しかし、米国で起きている現在の潮流は日本企業にも大きな影響を与えはじめています。
今後は従来の形骸化したMBOを廃止・見直しをはじめる企業が増えるのではないでしょうか。 

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