「組織づくりベース」を運営する、「HITO-Link(ヒトリンク)」サービスは、「HITO-Link CRM(ヒトリンク シーアールエム)」(https://www.hito-link.jp/crm)を2019/10/15にリリースしました。
「HITO-Link CRM」は、企業の採用マーケティングの実現を支援する、国内初の採用特化型CRMです。転職意欲が顕在化する前の潜在候補者の情報を蓄積・可視化し、「認知してもらう段階」から「志望度を上げる段階」のコミュニケーションプランを設計、採用まで繋げる仕組みを提供します。
既に海外の採用ではCRMの概念・活用は広まっており、日本でも今後需要が高まることが予想されますが、潜在候補者と接点を持った後、意向醸成のための適切なコミュニケーションをとり、繋がり続けるための仕組みは、まだ日本では浸透していません。
今回は、CRMに先進的なデジタルマーケティングのプロであるHENNGE水谷氏に、採用マーケティングのためのCRM活用法を聞いてきました。
水谷 博明(ミズタニ ヒロアキ)さん
HENNGE株式会社(Customer Success Division/Deputy Division Manager/Digital Intelligence Section)
広告代理店/Webコンサル会社/ITベンダーにて、営業10年、Webマーケティング10年を経験。
現在クラウドセキュリティベンダーであるHENNGE株式会社(旧HDE)にてインサイドセールスの立上げやデジタルマーケティングに従事。
CRM/MA/インサイドセールスを駆使した「営業×マーケティング」を共存させた「営業3.0プラットフォーム」構築を行っている。
CRMとは?
本記事では2種類の「CRM」について言及しております
■BtoBビジネス|CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)
特定の顧客との関係を継続的に築き上げ、その結果として売上げや利益、さらには企業価値を向上させるマーケティングの仕組みとツールのこと。CRMで顧客情報を蓄積・可視化することによって、営業の活動をサポートすることができる。
■採用|CRM(キャンディデイト・リレーションシップ・マネジメント)
潜在候補者との関係を継続的に築き上げ、双方にとって意向度の高い人材を採用できるようになるマーケティングの仕組みとツールのこと。CRMで潜在候補者情報を蓄積・可視化することによって、採用担当やリクルーターの活動をサポートすることができる。
HENNGE水谷氏へインタビュー
CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)でBtoBビジネスは強くなった
――デジタルマーケティングのプロとしてのご経歴を教えてください。
HENNGEに入社した当初のミッションとしては、デジタルマーケティング担当として営業に渡すリード(※1)をいかにWeb経由で集めるかというところでした。
でも、事業がどんどん成長していくにつれて、情報を集めるだけではその後の営業の受注につながらないことに気が付きました。
どうすれば営業がもっと受注できるのかを考え、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)といわれるデータベースの整備をしたり、インサイドセールス(※2)の部隊を立ち上げたり。営業が獲得した顧客の情報や商談の履歴管理そしてそこから適切な活動ができるようにと、デジタルマーケティング担当としての役割はどんどん拡張していきましたね。
(※1)リード…見込み客の情報
(※2)インサイドセールス…リードに対して、メールや電話・Web会議ツールなどを活用しながら非対面で営業活動を行う内勤型の新しい営業手法とその担当者
――リードを集めるだけがマーケティングの仕事ではなくなった、と。
そうですね。大切なのは、いかにビジネスに関連する情報を整理して繋げて、それを事業に役立てるように落とし込めるかというところだと思っています。
いわゆる「マーケティング」と聞くと、PR・ブランディングをやってリードを集めるぐらいまでが業務範囲だと思われがちですが、僕の中ではそこで終わりではなくて。
いかに会社に有効的な情報をきちんと蓄積して活用させていくかが重要で、これをCRMを活用して実現してきました。
逆にCRMなしでは、デジタルマーケティングを推進していくのは難しかったですね。
候補者の「+α」のデータをためて採用のネクストアクションにつなげる
――採用マーケティングに本格的に取り組みたい企業は、まずは何から始めればよいのでしょうか?
やっぱりデータは1日でも早く貯めたほうがいいと思います。
――具体的に、どんなデータを貯めればよいのでしょうか?
もうシンプルに、候補者と会話することで得た情報ですよね。名前やメールアドレスなどの連絡先は必要最低限貯めていって、そこにプラスαの情報も入れられると次のアクションに繋げやすいと思います。
もちろん既にされている企業さんもいらっしゃると思うけど、そもそもデータを貯めていくこと自体にまだ取り組めていない企業さんも多いんじゃないかな?
最低限の個人情報だけではなく、次に繋がるプラスαの情報をどこまで残せているのか、というのも重要ですね。
――「プラスαの情報」が大切とのことですが、具体的にどのような情報を貯めればいいのでしょうか。
例えば、うちの営業でいうとね。一度営業がアプローチして商談しました。でも失注しました。というときに、「なんで失注したのか」という情報を必ずCRM内に貯めています。
これがプラスαの情報です。いわゆる採用でも、「選考辞退された」って失注じゃないですか。「なんで失注したのか」というこの情報がすごく重要で、その情報によってネクストアクションは変わってくるんですよ。
例えばうちの営業だと、失注理由が、「明らかに他のベンダーとのコネクションが強くて、選ばれなかった。」ということあれば、政治的要因が強すぎるので、うちが再度アプローチしても、恐らく選ばれる確率は低いだろうと大体想像ができますよね。
でも、単純に価格面だけで選ばれなかったのであれば、「他のツールのほうが安価で購入してみたけどちょっと機能的に満足できない。もうちょっと高くても、機能的に満足するツールに乗り換えようか。」という状況になる可能性が当然あります。
そうなったら、そのタイミングでうちがもう一度商談に行けばいいだけの話になります。このように、失注理由によってネクストアクションが変わるので、その理由を貯めておくことが重要なんです。
それは採用も同じだと思っていて。
「内定を出したけど断られました。」って、大切なのは、じゃあどういう理由で断られたのか、なんですよ。
詳細を説明してもらえない場合もあると思いますけど、「向こうの会社の方が給料が良かった。」「向こうの会社の方がこういう魅力があった。」のであれば、その情報を貯めて、自分たちの会社も同じぐらいのレベルに立てるようになったら、そのタイミングでまたアプローチをすることだってできるわけですよ。
例えば、自社の情報を定期的に送っていれば、「転職した会社での仕事内容が、思っていたものと違ったな…」と思った時に、「あの会社からは情報もちょくちょくくるし、良い会社そうだな。あのときあの会社に入っておけば良かったかな。もう1回受けてみたいな」と思ってもらえるかもしれない。
そう思われる機会を、いかに多くつくっていくかというところが重要だと思います。
このような長期に渡って関係構築するための情報を残し、可視化し、次の活動に繋げるのがCRMの役割です。
スプレッドシートは「記録する」ためのツールで、CRMではない
――最近では「採用広報」や「ダイレクトリクルーティング」が流行っていることもあり、潜在候補者にもアプローチできるようになっていきています。
ただ一方で、応募前の「潜在候補者」いわゆるまだ応募はしていないけれど、将来的には採用の可能性がある方々の情報を管理するために適したツールがなく、とりあえずスプレッドシートに貯めているという企業さんも多いみたいです。
そうですね、それもよく聞きます。第一段階はデータを貯めることに意味があるので、最初はスプレッドシートでもいいと思います。ただ、スプレッドシートは記録するためだけのツールなので、CRMではありません。
データをいかに使うかと考えたときに、スプレッドシートは「見る」ことしかできない。見るだけなので、要はメモ帳と変わらないです。貯めたデータを活用していくのがCRMの役割なので、そこは大きな違いですね。
ちなみに、BtoBビジネスだと、CRMで顧客情報を蓄積・可視化し、実際に営業が活動するのをサポートするというのが主流となってきています。ただ、採用担当者がBtoB用のCRMを使いこなすのは結構難しいと思います。
――それはなぜですか?
BtoB用のCRMは、使いこなすために必要とされる専門性が極めて高いです。ある程度マーケティングの全体像を理解していないと、単なるメルマガを配信するということで終わってしまうと思います。
あとは、もうただシンプルにツール自体が若干複雑だったりするので、それを理解するのも大変かなと思います。
――将来的に採用の可能性がある「潜在候補者と長期的に関係を構築していく」には、採用に特化していて、かつ採用担当者が使いこなせるツールが必要ですね。
そうですね。人事ならではのデータベースの使い方があると思うので、それはまさにこれから必要になってくるものだと思っています。欧米では活用が広まっている採用に特化したCRM(キャンディデイト・リレーションシップ・マネジメント)は、日本でもこれからかなり重要になってくると思います。
潜在候補者を「ナーチャリングする」なんて、おこがましい
――潜在候補者に実際に選考を受けてもらうために、どのように意向醸成(ナーチャリング)しようかという点も、採用担当者の悩みポイントです。
(※4)ナーチャリング…「養育」「育成」といった意味であり、マーケティングの分野においては「見込み客を顧客にする」という意味で用いられる。
個人的にはそんなに複雑なことは別にやるべきじゃないと思っています。これは採用でも同じだと思いますが、やっぱりその会社と人の相性やご縁次第かな、と。
極端な話、こちらから「こういう経営方針なんだよ」「こんな人が働いているよ」「今度こんなイベントを開催するよ」という一方的なアウトプットでいいわけです。
そもそも「ナーチャリングする」って相手を育てるというすごくおこがましい考え方なんですよ(笑)
本来はそうじゃなくて、「相手に興味をもってもらう仕掛け」だと思っているので、自社に共感してくれる人だけが反応して食いついてくれるようなアウトプットをすればいいんです。
こちらが鼻息荒く「育てなければいけない!」というスタンスだと、うまくいかない。そこはもうちょっと、全体的に肩の力を抜いていいと思っています。
CRM(キャンディデイト・リレーションシップ・マネジメント)を活かした採用を
――最後に一言お願いします。
CRMを活用すれば、潜在候補者の情報を一元管理し、採用担当者や社員がどんな活動を彼らにしてきたのかを記録することができます。
一度出会った方といかに継続的にリレーションを築けるか、そして「潜在候補者」から「候補者」になる仕組みをつくれるかが、採用マーケティングの肝になってくると思います。
まとめ
・CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)でBtoBビジネスは強くなった
・まずは1日でも早く「データを貯める」こと
・スプレッドシートは「記録する」ためだけのツールで、データベースではない
・潜在候補者を「ナーチャリングする」なんて、おこがましい
・採用にCRM(キャンディデイト・リレーションシップ・マネジメント)を
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「HITO-Link CRM」は、企業の採用マーケティングの実現を支援する、国内初の採用特化型CRMです。
転職意欲が顕在化する前の潜在候補者の情報を蓄積・可視化し、「認知してもらう段階」から「志望度を上げる段階」のコミュニケーションプランを設計、採用まで繋げる仕組みを提供します。
サービスサイト:https://www.hito-link.jp/crm/
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