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育児休業制度とは?共働き時代だから確認しておきたいポイントを解説

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女性の社会進出や共働き世帯の増加などで、10年間で女性の育児休業取得率が80%を超えました。それに伴い企業側は育児休業制度の制定はもちろん、利用する社員への説明や手続き、復帰へのサポートなど体制を整える必要があります。そこで本記事では、育児休業制度や育児休業給付金の概要、手続きなどの解説をしていきます。

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育児休業制度とは

育児休業とは、「育児休業、介護休業等育児は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」によって定められた、「子を養育する労働者が法律に基づいて取得できる休業」をいいます。

この法律は女性の社会進出や共働き世帯の増加を受け、平成3年に制定され直近では待機児童問題などから平成29年に改正されています。「育児休暇」という言葉と混同されやすいですが「育児休暇」は企業ごとに定めた制度、「育児休業」は法令上の制度を指します

育児休業は平成7年から全ての事業所に対して義務化されているため、労働者から申し出があった場合必ず取得させなければなりません。

対象となる労働者

育児休業制度の対象となる労働者は次の通りです。

  • 原則として1歳に満たない子を養育する労働者(日々雇用を除く)
  • 女性労働者だけでなく男性労働者も対象

ただし、有期雇用の場合は、申出時点で以下の要件を満たす必要があります。

  • 同じ会社に引続き1年以上雇用している労働者
  • 子が1歳6か月に達する日までに雇用期間が満了にならず、更新されないことが明らかではない労働

一方で、期限の定めのない雇用契約であっても、次のような場合は適用除外とすることができます。

  • 勤続年数が1年未満の労働者
  • 申出の日から1年以内に雇用が終了する予定の労働者
  • 週の所定労働日が2日以下の労働者

育児休業の期間

育児休業の期間は、子が1歳に達するまでを原則として、最長で子が2歳に達するまでの延長が可能となっています。

  • 出産日から起算して57日目(産後休業終了日の翌日)から子が1歳の誕生日の前日まで(産前産後休業に続いて取得する場合)
  • 男性従業員の場合は、配偶者の出産日当日が休業開始日となり、子が1歳の誕生日の前日まで
  • 保育所に入れない等の事情がある場合は1歳6か月まで延長
  • さらに子が2歳に達するまで再延長可能に(平成29年改正)

一方で、労働者が職場復帰を望むときは、子が1歳に達する前であっても休業期間は終了します。キャリアと育児の両面から、休業を取得する従業員の考えをよく聞いておくことが必要といえるでしょう。

男性の取得実態と育児休業取得を後押しする制度

育児休業は制定当時から、男性従業員も取得できることが注目されてきました。しかし取得実態は、女性の取得率81.8%に比べ、男性3.16%(平成28年・厚生労働省調べ)と、前年度よりは微増していますが低水準となっています。

そこで行政では「パパ休暇パパ・ママ育休プラス」という制度を新設し、男性が育児休業を取得することで女性の職場復帰を助けることを推奨しています。

「パパ休暇」制度の概要と要件

子の出生後、父親が8週間以内に育児休業を取得した場合には、特別な事情がなくても、再度、育児休業が取得できる制度です。

  • 子の出生後8週間以内に育児休業を取得していること
  • 子の出生後8週間以内に育児休業が終了していること

引用:厚生労働省『パパ・ママ育休プラス』

「パパ・ママ育休プラス」制度の概要と要件

「パパ・ママ育休プラス」は、両親がともに育児休業をする場合に、以下の要件を満たした場合には、育児休業の対象となる子の年齢が、1歳2か月にまで延長される制度です。

  • 配偶者が、子が1歳に達するまでに育児休業を取得していること
  • 本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前であること
  • 本人の育児休業開始予定日は、配偶者がしている育児休業の初日以降であること

引用:厚生労働省『パパ・ママ育休プラス』

育児休業中の給与はどうなるか

育児休業中の給与支払はノーワークノーペイの原則から会社に支給の義務はなく、原則として無給となります。一方で、雇用保険の「育児休業給付金」制度があり、労働者は給与の一部に相当する額の支給を受けることが出来ます

育児休業給付金の受給資格

育児休業給付金の受給資格は次の通りです。

  • 支給対象期間すべて、雇用保険の一般被保険者であること
  • 育児休業を開始した日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヵ月以上あること
  • 育児休業の対象要件に当てはまること

受給資格を得るための要点は、育児休業より前に雇用保険に加入している期間が12か月以上あることと、休業中も雇用保険に加入していることです。

育児休業給付金の支給額

育児休業給付金の支給額は次の計算によって求めることが出来ます。実務として社内の給与担当者が計算するものではありませんが、従業員への説明はしておくべきでしょう。

  • 休業開始時賃金日額×支給日数(原則30日)×67%(休業開始から6か月経過後は50%)相当額
  • 休業開始時賃金日額=原則として休業開始前6か月分の賃金を180で割った額
  • おおまかに、休業前の賃金の50%~60%くらいが支給額となる
  • 支給単位期間は1か月間

働きながら受給することは可能か

特に職場復帰の段階では、休業給付の支給単位期間と勤務が重なるケースが出てくることがあります。また職場復帰の初期段階では、時短勤務や週の所定勤務日を減らして対応するなど、様子見の期間も必要になってくるでしょう。

このような場合も次の支給要件に注意しながら、従業員にとって不利にならないよう配慮することが望ましい運用といえます。

育児休業期間中に就労した場合の支給要件

  • 各支給単位期間(1か月間)において、10日以下または80時間以下の勤務
  • 各支給単位期間に支払われた賃金が、休業開始時賃金日額×支給日数の80%未満であること。ただし、80%未満であっても段階的に支給額が減額される。13%未満で満額支給、13%以上80%以上では13%を超える部分が減額。

産前から育児休業までの各種手続きについて

出産前から育児休業まで、順を追って手続を挙げると次のようになります。

①産前休業(出産予定6週前~)

  • 「産前産後休業取得者申出書」・・・日本年金機構
  • 「出産手当金」(標準報酬日額の3分の2相当額)・・・健康保険 など 

②出産

  • 「出産育児一時金、家族出産育児一時金」・・・健康保険 など

③産後休業(産後8週間~)

  • 「産前産後休業取得者変更(終了)届」・・・日本年金機構 など

※ 産後6週間以降~産後休業終了日前に、医師の診断を受けて就業する場合

④育児休業(産後休業終了日の翌日~原則子が1歳に達するまで)

  • 「育児休業給付金」・・・ハローワーク 
  • 「育児休業等取得者申出書」・・・日本年金機構

出産育児一時金については本人の申請となりますが、一連の手続きとして押さえておき、従業員へ案内することをおすすめします。

育児休業給付金の受給手続き

①初回の受給資格確認手続き

  • 「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」
  • 「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」
  • 賃金台帳・出勤簿・母子手帳コピーなどの必要書類

これらを支給対象期間の初日から4か月に到達した日の属する月の末日までに提出し、初回の手続きをします。

②「育児休業給付金支給申請書」

2か月に1回育児休業が終了するまで繰り返し提出します。

③育児休業給付金の振込

手続きの約1週間後に労働者本人名義の金融機関口座に振り込まれます。育児休業給付金の受給手続きのポイントは次の通りです。

  • 支給単位期間ごと2か月に1回の手続き
  • ハローワークに支給申請
  • 申請期限日が厳しいうえに繰り返し何度も申請する必要がある

最大で2年近く、その都度の手続きが必要となるため、会社側が本人と協力、連携して抜け漏れがないよう手続きをすることが必要といえるでしょう。

その他の手続き

その他に大切な手続きとして押さえておきたいのは「産前産後休業保険料免除」制度です。この制度を利用することで、産前産後休業中の健康保険・厚生年金保険の保険料が本人負担分と、事業者分も免除となります。産前産後休業をしている期間のうちに、「健康保険・厚生年金保険 産前産後休業取得者申出書/変更(終了)届」を日本年金機構に提出します。

育児休業の開始から職場復帰のサポートまで

育児休業には、法令で定められた以外に従業員本人の希望や意思が重要になります。必ずしも子が1歳になるまで休業しなければならないということはなく、パパ休暇制度などを利用すればキャリアの中断期間は最短にすることも可能でしょう。

このように育児休業は従業員本人の希望と関連の法令に合せて運用することになります。

  • 法令と本人の希望を遵守、尊重しながら進めていく
  • 原則として現職に復帰する
  • 極端にやりがいのない業務への異動や給与減はNGとなる
  • 最長で2年間、キャリア形成がストップしていることを配慮する必要がある
  • 時短勤務など、スムーズに復帰するためのサポートは本人と会社が話し合って決めるのが望ましい

まとめ

昨今、女性管理職の登用などが進むなか、企業には育児休業に関する体制づくりが急務として求められています。育児休業は手続きなどによるサポートはもちろん、従業員本人の希望を聞いて現職場への復帰を前提にした運用が望ましいです。また、最長で2年近い休業期間となるため、休業中のコミュニケーションや復帰前のパートタイム勤務の設定など復帰しやすい環境作りも必要です。本記事の内容を参考に、新しい命を育む従業員が安心して休める組織を目指していきましょう。

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