管理業務の手法としてPDCAサイクルは世界中で根付いていますが、なかなか理想的に回らないことに頭を悩ませる現場も多いのが実情です。本稿では、PDCAサイクルに関する説明、サイクルを回すためのポイントの解説、ツールの役立て方の紹介をします。
PDCAサイクルとはどのような管理業務手法なのか
PDCAサイクルは、「管理業務を上手く進めるために4つのフェーズをサイクルさせる手法」のことです。
PDCAサイクル自体は戦後に提唱された手法であるため認知度自体は高く、前述の通り様々な企業が採用しています。
PDCAサイクルの「PDCA」は4つのフェーズの頭文字を示していて、それぞれ
P……Plan
D……Do
C……Check
A……Action
となっています。4つのフェーズで具体的にどのような業務を行うかについては、以下の通りです。
・Plan……計画
Planは計画段階で、業務計画を立てるのが主な仕事になります。
例えば、新しい商品の売上ラインを定めて販売する場合、その商品に関する内容だけでなく、これからどのように販売していきたいかなどの展望を話し合っていく必要があるでしょう。
・Do……実行
実際に計画段階で話し合われた内容の業務を実践していきます。
この時にどのような結果が出たのかについて詳細に記録しておかないと、Checkのサイクルから上手く回っていかなくなるので要注意です。
・Check……評価
ここで言う評価とは、単純に計画段階での目標を達成できたのかの判断だけではなく、実行した結果に至った理由についての検証を行うことになります。
目標を達成できなかった場合も、どのような過程を踏んでどのような結果に至ったのかということが分かれば、次のActionに繋がりますので、大きな意味を持つのです。
・Action……改善
そしてサイクルの4段階目となる改善です。
Checkの段階で集まったデータをもとに、次のPlanの段階でどのような計画を立てるのかの議論を行うことになります。もちろん、計画を途中で中止することも選択肢になりますので、管理業務としてはかなり重要な局面です。改善して計画を練り直す場合は、どのような改善方法をとるかを明確にする必要があります。販売前から注目を集めなかった場合はホームページ上で積極的に広告活動を行う、などCheckで出た悪い点をしっかりと改善させた上で、次のPlanに移れるようにしましょう。
このように、PDCAサイクルでは業務ごとに段階を分けてサイクルを回していき、2周目のPlanの段階に入った時には前回のサイクルと比較して洗練された業務体制を作り出せる、といった仕組みとなります。このPDCAサイクルは大手企業でも成功例があります。例えば、会社のホームページのページビューを増やす際にPDCAサイクルを採用し、周回ごとにページビューをより増やすという結果を残した企業もあるようです。
PDCAサイクルを上手く回すために考えるべきこと
PDCAサイクルは、説明を聞いている段階ではとても分かりやすく理想的な管理業務のように感じられるため、積極的に採用してみたくなります。しかし、実際に回してみると上手くいかないことも多いのが実情です。PDCAサイクルを上手く回すことだけを念頭に置きすぎて計画倒れしてしまうことすらあります。しっかりとサイクル回すためには常に業務に合わせてサイクルを回していくことが大事になります。ここからは、PDCAサイクルを上手く回していくためのポイントについて説明していきます。
評価や改善をいい加減な形で実践しない
これは特に意識していきたい点です。PDCAサイクルに関する説明を聞けば、評価と改善の段階は2周目以降のサイクルにとても重要なことが分かります。
しかし、Dの段階である程度結果そのものは見えてくるので、「こうすれば上手くいくだろうと」軽く考えてすぐに2周目に移ってしまうと問題が起きてきます。
PDCAサイクルはしっかりとCheckとActionの段階で業務をこなさなければ、決して上手く回ることはありません。そのため、結果出た場合は必ずレポートをとっておき、そのレポートをもとにして評価・改善業務をしっかりとこなすようにしましょう。
しっかりと目標と目指すべきゴールを定めておく
PDCAサイクルが上手く回らないケースでは、業務における目標やゴールを曖昧にしていることが多いです。
目指すべきビジョンが明確でない場合、前述で触れたようにサイクルだけを回すことだけで満足してしまいがちで、肝心の業務に関しては何一つ良い進展がないということもあります。サイクルだけを回して仕事をした気にならずに、「何のためにPDCAサイクルを回しているのか」をしっかりと念頭に置いて、当初定めたゴールを達成できるように業務を改善させていきましょう。目標管理のフレームワークを使うのも一つの手です。
サイクルが回っているのかをこまめに確認する
業務の進捗状況をチェックしてサイクルが回っているかどうかの確認する作業は、意外と見落とされがちです。「サイクルは回っているから大丈夫だろう」と考えていても、実際にはなかなか業務が上手く進まないといったケースもありますから、しっかりと押さえておきましょう。
大まかにまとめると、「サイクルを回すだけで満足しない」、「サイクル及び業務の進捗ごとにしっかりとした議論やチェックを交える」ということになります。
一見うまくいっていると思って放置していると、ガタガタになったサイクルが完全崩壊する可能性がありますので、常に目を光らせておきたいです。
PDCAサイクルを上手く回すためにツールを使用する
ここまでは、PDCAサイクルに関する説明や回す上でのポイントを説明してきました。ここまで聞いていると「サイクルために資料を作るのが大変だ」と感じた人も多いのではないでしょうか。実際に4つの段階で仕事に関するまとめや、レポート、そして議論で出てきた内容など、いろいろな資料の作成が必要となり、それを一つ一つ使いこなしてサイクルをパワーアップさせていくことが必須となります。
しかし、現在、PDCAサイクルを回していくために役立つツールがいろいろと増えていますので、一見大変に思える業務も慣れれば楽にこなしていくことが可能です。ここからは、PDCAサイクルを回していく上で役に立つツールについて紹介してきます。
Pの段階で役立つツール……計画を立てる段階では、フォーマット型のツールがとても役立ちます。目指すべき目標から計画、その詳細をしっかりとまとめることができるのが利点です。
Dの段階で役立つツール……実行の段階ではいろいろな仕事を各自行う必要が出てきます。当然いろいろな分野に分かれていくことになるのですが、共有や全体の確認ができるようにしなくてはなりません。そこで役に立つのがタスク管理ツールで、全体が進捗状況の報告をスムーズにできるようになります。もちろん、タスク管理ツールは日々の業務にも役立ちますので、PDCAサイクル以外でも使ってみるといいでしょう。
C・Aの段階で役立つツール……CとAの段階では結果をまとめたレポート等をもとにして、評価や改善を行っていくので議論が中心になります。一見あまり状況に合うツールがないようですが、振り返りと改善をbotがサポートしてくれるコーチングツールというものもありますので、ツールを生かすことも十分可能です。
前述の通りPDCAサイクルの中でとても重要なフェーズになりますので、評価と改善に徹底的に取り組むためにはコーチングツールを利用していくことも考えていかなければなりません。ツール選びに関しては自分たちに合っているものを見つけるという意味でも、チーム全体でチェックしていきたいところです。
まとめ
円滑に業務を進めるためには理想的な形をしているPDCAサイクルですが、いざ実践するとなると難しい問題が出てくるということも事実です。
上手くサイクルを回していく上では常に様々な点に気を付けていかなければならないので、サイクルを回すためのツールの使用は必須いうべき存在になります。サイクルを回すためにポイントを押さえることはもちろん重要なので、段階ごとにしっかりとレポートを取って議論することが求められるのは言うまでもありません。
円滑にサイクルを回す形を作るためにはサイクルそのものの改善も必須になりますから、PDCAサイクルで行う業務だけでなくPDCAサイクルそのものも常にテコ入れができる体制を整えておきましょう。