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優秀なマネージャーを失わないために。大企業で起こりがちな「人」の悩みを「横」につなげて生み出す、パフォーマンスマネジメントの効果

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変化しやすく、柔軟な意思決定がしやすいベンチャー/スタートアップ企業に比べると、大企業における連携は希薄になりがちです。

パフォーマンスマネジメントを進めていく中でも「マネージャーへのアプローチ」と「横のつながり」が大切、と語るのが、日産自動車のアライアンスRD人事部で人材育成に取り組む西出さんです。
聞き手に、組織行動とリーダーシップを専門に大学で客員教授も務めている須東朋広さんをむかえ、大企業が陥っているマネジメントの問題と、今後、求められる人事の役割について伺いました。

■日産自動車株式会社 アライアンスR&D人事部 R&D人財育成グループ
一般社団法人 企業間フューチャーセンター フェロー
西出 恵美氏(写真右)

日産自動車株式会社で、エンジニアを対象とした人材育成や教育プログラムの企画と運営に携わる。2009年よりATD-IMNJタレントマネジメント委員会発足メンバーとして活動に携わり、2015ATD-ICE参加をきっかけに発足のパフォーマンスマネジメント革新研究会発起人の1人として活動する。
また、対話をベースにした企業間連携を目指す「一般社団法人企業間フューチャーセンター」のフェローも務める。

さらに「学習する組織研究会」「組織開発研究会」など社内外の組織での実践をベースに探究を深め、組織の枠を超えて積極的に活動している。

ATDAssociation for Talent Development)米国で発足した人材や組織開発に関する情報交換に長い実績をもつ非営利団体

 ■一般社団法人組織内サイレントマイノリティ 代表理事
多摩大学大学院 経営情報学研究科 客員教授 
須東 朋広氏(写真左)

2003年、最高人事責任者の在り方を研究する日本CHO協会の立ち上げに従事し、事務局長として8年半務める。
2011
7月からはインテリジェンスHITO総合研究所(現・パーソル総合研究所)リサーチ部主席研究員として日本的雇用システムの在り方の研究から中高年、女性躍進、障がい者雇用、転職者、正社員の雇用やキャリアについて調査研究活動を行う。

201610月、組織内でなんらかの理由で声を上げられない社員が増え、マジョリティ化しつつある中で、働く人全てがイキイキ働き続けるために『一般社団法人組織内サイレントマイノリティ』を立ち上げる。


管理するために役職や金銭を渡すやり方には限界がある

須東:
西出さんは日産自動車に入社後、2001年の日産リバイバルプランが始動した時期に人材育成部門に異動されています。その後、社内人材育成や教育プログラムの企画・運営に携わっていますが、パフォーマンスマネジメントに注目されたのは、どのようなきっかけからでしょうか?

西出:
興味と関心が赴くまま道楽のようにアメリカで開催されているATDのカンファレンスへ4年に一度参加しているのですが、その場でパフォーマンスマネジメントを知り、注目しはじめました。

というのも、日本企業において社員をモチベートさせるのはほとんどが外発的動機にもとづくものです。語弊はあるかも知れませんが、「管理しやすくするために、役職や金銭を渡している」印象です。
こういったやり方では社員の幸せには程遠いと感じていたところにパフォーマンスマネジメントの様々な取り組み事例に出会いました。

また、バブル期に入社した社員は、役職に就けた人/就けなかった人に二極化していて、役職に就けずモチベーションが低く定年を待つ人が一定層いますが、多くの日本企業はこれらを放置しているように見えました。
そんな状況を若い社員が見て「そんな感じでもずっと働くことができるんだ」と誤った学習をしてしまうことに、パフォーマンスマネジメントに取り組む重要性を感じました。

須東:
西出さんは、社内にとどまらず人材育成や教育プログラムに関して知識をインプットし、広くアウトプットすることで、セルフモチベートし、会社に貢献されていますよね。

西出:
「貢献」というと聞こえは良いんですが、純粋に楽しいからやっているという側面もありますね(笑)。
人材・組織開発といったものに強い興味があり、探究心を持って本能の赴くまま動いていたらたまたま会社もそれを必要としていたんです。

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会社がマネージャーをサポートしてあげる。優秀な人ほど放置せずにフォローを

 須東:
それでは、パフォーマンスマネジメントのあるべき姿について伺っていきたいと思います。西出さん個人の意見として、パフォーマンスマネジメントはどのようにあるべきなのかをお聞かせください。

西出:
日本企業で多く見受けられるのが、日々流れてくる目の前の業務に精一杯になってしまい、仕事に対して受動的になっている社員の姿です。
上司の指示がなければ、指示が来るのをただ待っているという人もいる。そんな話も聞くこともあります。

須東:
自発的に思考する/上司から指示を受けるというバランスが悪くなっているんですね。

西出:
そういった課題に対して、パフォーマンスマネジメントを取り入れることで人や組織が変わるきっかけとなる可能性を感じています。

マネージャーが「部下のAさんは指示待ちタイプだ」と感じたら、業務の指示の方法や報告のきき方を変えるなど、部下が自ら思考できるようなにマネージャー自らが対応の仕方を変える。
また、評価面談以外にも、月1回は部下と1on1をするとか、ランチに行くとか、マネージャーと部下の関わりを深めることが重要だと思います。

須東:
できる部下ほど、人に頼れないので放置されがちですよね。上司はそこで放置するのではなく、気がついたときに声を掛けたり、問いを出してあげたりしてフォローしてあげることも大切ですね。

西出:
とはいえ、マネージャーも自身がプレイヤーとしても仕事をしていたり、自身の上司と部下の板挟みになったりと、大変です。
「マネージャーは優秀だから」といって放置するのではなく、マネージャーの働き方を会社がサポートすることも重要です。

実は、最近、マネージャーが辞めてしまうケースが多いというのを、社外の方とお話をしていてよく聞きます。

須東:
マネージャーになるような人ですから基本的には優秀でモチベーションも高いはずなのに、勿体無い話ですね。

西出:
そうなんです。マネージャーになるような人は「こんな組織にしたい」という希望や熱意を持っている、意欲の高い人が多いと思います。
ところが、会社側は「マネジメントするのは、君だ」とそのまま放置したり、階層別教育で教えているつもりが普通のようです。

「できる人だから放っておいても大丈夫」という神話は嘘です。会社がマネージャーを放置してしまうと、突然「来月で辞めます」みたいな悲劇が起こってしまいますし、これまでマネージャーを育成してきた会社にとっても大きな損失になってしまいます。

須東:
海外ですと、人材の流動は悪い側面だけでは無いと思いますが、日本ではどうでしょうか?

西出:
もちろん、マネージャーのポストが空けば、そこに他業界からの優秀な人材を埋めていくという海外の合理的な方法もあります。

しかし、日本には日本企業の文化や日本人の感性にフィットしたやり方があると思っています。ただグローバルの流れに足並みを揃えればいいとは思っていません。
ですので、今は日本の企業文化に合うパフォーマンスマネジメントのあり方について他社の方々と意見交換をしていますね。

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マネージャー同士が横でつながり、悩みや思いを共有することで生まれる効果とは

須東:
西出さんが人材・組織開発を通して実感するパフォーマンスマネジメントを進めていく上で重要なことはなんでしょうか?

西出:
「透明性を高め、正しい情報を伝えること」
が重要だと思っています。

例えば、「将来、AIに仕事を奪われる」という危機感を煽る風潮が、一時期メディアで賑わっていましたよね。
このような表面的なニュースに踊らされてしまい、仕事への不安を感じてしまう社員は少なくないと思いますが、HRを扱う人たちが、「いかに正しい情報を持っておくか」、そしてそれを正しく伝え、仕事に対してポジティブになれるような情報を、発信することが大切ですね。

その上で、一つの枠に当てはめて考えるのではなく、社員と一緒になってどうしていきたいかを考え、経営に伝えることが、パフォーマンスマネジメントには必要です。

須東:
そのためのキーマンとなるのがやはり、マネージャーの存在ですね。マネージャーに対してはどのような研修や施策を実施されているんですか?

西出:
「学習する組織」の知識を得て実践する研修は15年以上継続して行っています。他にも自身のマネジメントについてマネージャー同士が10週間にわたり内省・共有してもらうプログラムもあります。

須東:
10週間も実施するんですか。かなりの時間と労力を使っているんですね。実際に研修を受けたマネージャーたちはどのように変化していくのでしょうか?

西出:
まず、この研修はグループワークなので10週にもわたって同じ時間を過ごしていくと、マネージャーは大体同じような悩みを抱えていることが分かってきます。グループワークによって、悩みや想いを言語化していくのですが、最初はみなさん躊躇していますね。

ただ、慣れてくると、自然とマネージャー同士の横のつながりができ、相談し合ったり、飲みに行ったりという関係性が生まれてきます。
マネージャーの悩みのタネの多くは、人間関係に起因します。そうした悩みを共有できる場をもつことが、マネージャーにとってプラスの効果を生み出していると感じますね。

マネジメントの問題はたいていが「ミスコミュニケーション」によるもの

西出:
さらに、マネージャーやリーダー向けて「合氣道」を通して自身を知ってもらう場を提供したりもしています。

須東:
合氣道ですか?

西出:
合氣道はリーダーシップのヒントに富んでいるんですよ。

須東:
相手は自分の思い通りにならないけど、寄り添うことで変えることができる。――そのような意味でしょうか?

西出:
おっしゃる通りですね。リーダーシップを発揮しようとしても、無理に部下を動かそうとしてもダメなときがほとんどです。
相手に変わってもらうためには、まずは自分自身を知り、自分自身の振る舞いが変わっていることが相手に伝わることで寄り添い、近づく。
そのようなことを、合氣道を通して体感してもらえたらと考えています。

須東:
確かに、旧来型の「俺についてこい」というリーダーシップの発揮の仕方は、なかなか機能しなくなってきています。

西出:
今の時代のリーダーシップに必要なのは、共感や信頼です。押し付けるわけではなく、一緒に話し合おうというスタンスです。
合氣道の体感を通して気づくことができます。この合氣道の研修は100人の参加枠がありましたが、すぐに埋まってしまいました。

須東:
人との関わりを徹底的に問い直そうとすると、自分のことも知らなければいけないし、その手法も変わってくるということですね。

そもそも、自分がどうしたいのか?が分からなければ、人を導いたり、効率的に仕事を進めることもできませんね。ビジョンを話し合ったり、考え直したり、皆でつくっていく姿勢を体感させることが大切なんですね。

西出:
他にも、幸福学や脳科学などさまざまな分野の機会を用意していますが、マネジメントの問題はたいていが「ミスコミュニケーション」によるものです。

例えば、忙しい時に部下に話しかけられ、その部下の顔も見ずに返事をする。そういった無意識でやった行動に対して部下は「機嫌が悪そう」とか「あとで話しかけよう」という風に、学習してしまいます。
次の機会には「今、話しかけたら機嫌が悪くなるかも」といった憶測で不要な行動させてしまうことになる。
勝手な憶測で行動させない、正しいコニュニケーションや行動をさせるためのサポートなどを行ったりしています。

須東:
無意識の行動をいかに意識的に行動できるか、ですね。このエピソード一つをとっても、「忙しそうにしていても、必ず顔を見て対応してくれる上司だ」という印象を持ってもらうことで、防げるリスクは沢山ありそうです。

特に、ベンチャーやスタートアップだと、上司や経営層との距離も近くて、コミュニケーションが弾みやすいですが、大企業はレイヤーが数多くあり、コミュニケーションが取りにくいというジレンマがありますよね。

西出:
極端な話、大企業の場合は会社に来て挨拶もせず、一言も話さないで仕事をするという社員もいます。
残念ながら、大企業はそれで仕事が回ってしまう。そこで、私たちは「挨拶をする」などを含めた20カ条を実践しています。――私たちのようなHR、人材・組織開発に携わる人間は、言ってみれば「コーディネーター」なんです。
社員が心地よく仕事に取り組める働きやすい環境を作る。それが、パフォーマンスマネジメントを通して社員が幸せになるために必要なことだと思っています。

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違う役割の人たちをいかにつなげていくか、人事の役割が試されている。

須東:
最後に、今の時代の人事、またパフォーマンスマネジメントを実現するためには何が求められるでしょうか?

西出:
まずは、「枠組みにはめすぎないこと」です。「上司が、部下に教える」というフェーズは終わりました。人はいつでも学び直せます。その人自身が、気がついたときに自分の意志で学べるよう、環境や教材をいかに用意しておくか、が鍵だと思います。

須東:
これまで西出さんが人事やパフォーマンスマネジメントに関わってきた中で、人事の方々の考え方に変化は感じますか?

西出:
2016人事の質も変わってきていますね。初年度は、とにかく正攻法を聞きに来たという感じで、Howを知りたがっていました。
それが、2年目は、様々な危機感から、事例を聞きながら、自分の会社に合うスタイルを見つけたいという人事が多かったように思います。
また、3年目になると、経営人を連れてくる人事が多くいました。同じ会社でも職種などによる違いによって合わないスタイルもあるということが分かってきて、問題は「経営がどう腹をくくるか」だということに気が付き始めました。

経営ビジョンに照らし合わせて、経営と人事で話ができているか?にメスが入り始めたと感じました。

須東:
人事戦略として、「次に誰をこのポジションにおくか?」など、異動・配置の話はされていても、職場で何が行われているか、経営が知らないケースは多いですね。人事に任されてしまっている。

西出:
特に会社が大きくなればなるほど、経営戦略は経営企画、パフォーマンスマネジメントは人事、さらに人材教育の担当者、と役割が細分化されています。

しかし、役割が違う人事や経営、その他の役割の人たちを横につなげて、いかにコミュニケーションをとっていくか、人事の役割が試されていると思います。

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(構成・取材・文:眞田幸剛、撮影:古林洋平)

 


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