チームビルディングとは、個々の能力やスキルを最大限に活かしながら、チーム全員が力を合わせて目標達成できるような組織をつくっていく手法です。多様な人材をうまく活用するマネジメントのひとつとして注目されています。本記事では、チームビルディングの概要や目的別の導入例、導入前に知っておきたいポイントをご紹介します。
チームビルディングの概要と特徴
有効な組織づくりの方法としても注目されているチームビルディングの特徴を解説します。
チームビルディングとは
チームビルティングとは、ひとりひとりが自分の能力を発揮しつつも、チーム一丸となって目標達成を目指す組織、または組織を作るまでの手法を指します。従来の日本のチームでは、ひとりのリーダーを立てるとワンマンになりがちで個性が活かせない、リーダーへの負担が大きいなどの問題がありました。そこでチームビルディングを導入することで、個々のスキルや能力をチームの中でも活かせるようになり、個人以上のパフォーマンスも期待でき、組織全体の成長にもつながります。
チームビルディングの特徴
- 社員全員・組織全体を対象にできる
チームビルディングには、会社組織に関わる全ての社員を対象にできる特徴があります。その中でも、目的に応じて若手社員や内定者、管理職、パートやアルバイト従業員など立場や社員の年齢で対象者を絞り込んで実施することもできます。社員だけでなく、職種や部署など組織単位での絞り込みも可能です。もちろん、対象者の絞り込みを行わず、社員全員・組織全体を対象としたチームビルディングも実施できます。
- 方法や手法が多岐にわたる
チームビルディングには、様々な手法があります。「社内ミーティング」や「研修や合宿」、「スポーツ大会や社内旅行」などのレクリエーションイベントが用いられることが多いです。対象者や得たい目的に応じて手法が選べるのもチームビルディングの特徴です。
チームビルディングの効果とは
チームビルディングを導入すると得られる具体的な効果を紹介します。
達成感や成功体験が与えられる
チームビルディングの中には、ひとつの目的にチーム全員で挑むというものもあります。チーム全体で目的を達成した時の達成感や一体感が味わえるだけでなく、成功体験を繰り返すことで、社員ひとりひとりが自信やモチベーションを持てるようになります。
コミュニケーションスキルが向上する
チームビルディングを行うと、ビジネス上の基本的なコミュニケーションスキルを培うこともできます。さらに、チームビルディングを通じてチームメンバー同士の信頼度が増しますため、通常業務も円滑に進むようになります。
個々の能力以上のものが出せる
今までひとりで何事も解決しようとしてきた人でも、チームビルディングを導入することで、周りと協力して解決していこうとします。個々の能力をかけ合わせたチームは、個々の能力以上の成果が出せるようになり、業務効率も向上します。さらに、考え方やアイディアも集まりやすくなるため、新しいイノベーションの発掘も期待できます。
目的別チームビルディングの具体例
目的に応じた適切な方法を導入すれば、よりチームビルディングの効果が上がります。そこで、目的別チームビルディングの具体例を4つご紹介します。
メンバー同士の絆を深めたい時は”社内イベント”
企業には、若手社員やベテランまで幅広い年齢層の社員がいます。さらに、正社員の中でも役職の有無や、アルバイト・パート従業員も混在して同じ職場で働いていることもあります。
このように色々な立場の社員がいる環境の中で、個々の能力やスキルを活用した組織づくりをしたいと思った時のチームビルディングの方法として、スポーツ大会や社員旅行などの社内イベントの開催が有効です。レクリエーション性の高いチームビルディングの手法は、年齢や立場も様々なメンバーを混合したチームにも高い効果が期待できます。
近年では、新入社員同士の結束を強めるためのチームビルディングの手法として、新入社員を対象とした運動会やマラソン大会を導入している企業や団体も多くなりました。
生産性を高めたい時は”合宿や研修”
組織改革のために、新しいイノベーションを発掘したい時には、チームビルディングを目的とした合宿や研修の開催が有効です。合宿や研修は通常業務を行っている場所を外れることで、創造性が刺激されて新しいアイディアや考えが生まれやすくなります。合宿や研修で、お互いの新しいアイディアや考えを出し合った上でのチームビルディングを行えば、生産性の高い職場環境づくりにつながります。
キックオフをする時は”ミーティングとゲーム”
新年度や新規プロジェクト、事業開始時のキックオフとしてチームビルディングを行えば、メンバー同士の信頼関係を構築でき、その後の業務進行も円滑に進みます。初対面のメンバーが多い場合は、自己紹介も兼ねて全員が同じ目標を確認できるミーティングが有効です。これに加えて、プロジェクトや業務内容に関連するビジネスゲームを実践すると、スキルアップにも繋がります。
どんなケースでも適応できる”定期ミーティング”
常日頃から組織のつながりを確認し継続性を持たせたい時から、若手社員から管理職まで業務上でのスキルアップを目指したい時まで、幅広い目的で実施できるチームビルディングが定期ミーティングです。会議室などで、対面で行う通常ミーティングのほか、ビデオチャットなどを使用したオンラインミーティングなどがあります。
チームビルディングを成功させる4つのポイント
チームビルディングは、対象や方法を幅広く選べるメリットがあります。しかし、適切な状況で導入しなければ、チームビルディング本来の効果を得られません。ここでは、チームビルディングを成功させるための4つのポイントを紹介します。
リーダーシップを発揮できる存在がいる
チームには、性格や考え方の異なったメンバーが集まります。価値観の違うメンバーでは衝突が起きてしまうなど、チーム機能が十分に発揮できない場合があります。そこで、個々のメンバーの性格や価値観を尊重しながら、全体をうまくまとめられるリーダー的な存在が不可欠です。ただし、リーダー的な存在ひとりに負担がかからないように、管理者としてのフォローも必要となります。
メンバーが企業へ信頼を持っている
チームビルディングを行う際には、メンバーが企業への信頼を持っていることが前提となります。企業に信頼がなければ、スポーツ大会や社員旅行などの社外活動に対しては不参加も多くなります。定期ミーティングに対しても意欲がなく、発言をしなくなるためチームビルティング自体を実施できません。チームビルディングを導入する前に、社員が企業を信頼できる環境は整っているかを改めて見直すことから始めます。
共有したい事項は明文化する
チームビルディングを行う前に、チームで共有したい認識や知識、方法などは明文化して周知します。こうすることで、「暗黙の了解」を防げます。さらに、チームビルディングの正しい目標も共有すれば、メンバー全体が同じ方向を向いて、効率よく目標達成へ進めます。
実施後の効果を継続させる
チームビルディングを実施し、効果が得られても持続しなければ、個人としても組織としても成長にはつながりません。チームビルディングを実施した後にも、チームメンバーの関係性や業務での様子を確認し、効果を継続させることが管理者には求められます。フォローを行ったり、新しいチームビルディングを導入したりして効果を継続させれば、個人だけでなく企業としての成長につながります。
まとめ
個々のスキルや能力を発揮させ、チームの力を最大化できるチームビルディングは、個人ひとりで出す成果以上の結果を期待できる手法です。チームビルディングの目的に応じて適切な方法を選んで実施する、さらに実施した後も効果が継続できる環境づくりをすることで、組織全体の成長の手詰まりも解消できます。