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パフォーマンスマネジメントとは? 活用における5つのポイント

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近年、米国の大手グローバル企業や日本のベンチャー企業が、人事評価によるランク付けの定義に疑問を呈し、社員とのコミュニケーションを重視し成果につなげる最新の「パフォーマンスマネジメント」の概念を人事制度に採り入れ成功しています。今回はその本質と各社の導入事例について紹介します。

パフォーマンスマネジメント 米国の潮流

2012年以降、米国ではマイクロソフト、GE、アドビシステムズなど、人材マネジメントの模範とされるような企業が、次々と年次評価を廃止し話題になりました。社員を評価(レイティング、ランク付け)するより、社員の成長を支援することが会社の生産性につながるという考え方が浸透してきており、新たに注目を浴びている「パフォーマンスマネジメント」の概念のひとつです。最新のパフォーマンスマネジメントとは具体的にはどのようなものかを紹介していきます。

「ノーレイティング」とは

最新のパフォーマンスマネジメントの中でも革新的で、注目を集めている手法がノーレイティング(No rating)です。従来のMBO(目標管理制度)で行われていた年度単位の評価、たとえば社員をSA、A、B、Cなどにランク付けし、それをフィードバックする行為を廃止するという意味です。
ノーレイティングは、ランク付けのかわりに上司・部下のコミュニケーション頻度を増やします。面談で行われるのは、評価ではなくコーチング。リアルタイムに部下にフィードバックを行い、部下を育成していくことで成果を上げていく手法です。

米国においてノーレイティングが注目されてきた背景には、「社員をランク付けすることは、結局、社員全体のモチベーション向上に結びつきにくいのではないか」「急速に変化するビジネス環境においては、年次単位の目標管理ではフィードバックサイクルが長すぎるのではないか」という問題意識がありました。

従来のMBOで指摘されていた問題点

  • 年に1、2度の目標に対する評価というスタイルは現代のビジネス環境に即していない
  • 社員のランク付けはモチベーションや成果に結びつきにくい
  • 部門内で相対評価を行うため、チームワークが醸成されない
  • 管理職が評価にかける時間・エネルギーが膨大で非生産的
  • 上司・部下の信頼関係が築きにくく、社員の会社に対するエンゲージメントも高まらない

最新のパフォーマンスマネジメントの特徴

  • 上司・部下とのコミュニケーション頻度を増やす。
  • 面談で行うのは過去の評価ではなく、目標達成に向けての成長支援とコーチング。
  • リアルタイムなフィードバックで部下を支援。必要に応じ目標の再設定も可能。
  • 上司と社員のコミュニケーションを深め、良好な信頼関係を構築する。
  • 社員の会社に対するエンゲージメントを高める。

現代は、「VUCA」(※Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity (複雑性)、Ambiguity(曖昧性))の時代といわれています。最新パフォーマンスマネジメントは、このVUCAに対応できる柔軟なマネジメント手法として注目を浴びているのです。

パフォーマンスマネジメントを活用する際のポイント

日本では約7割もの企業が人事評価制度として目標管理制度(MBO)を導入しています。
MBOとはドラッガーが提唱した手法で、「Management by Objectives and Self control」、すなわち「Objectives(目標)」と「Self control(自己統制)」による「Management(管理・マネジメント)」によって、個人に仕事を紐付けることで成果を出していく手法です。

1990年代から日本が成果主義の流れを取り入れていくことと相まって、日本企業に急速に広まっていきました。しかし現代では制度自体が形骸化していたり、社員のモチベーションを下げてしまっているケースは少なくありません。

近年のパフォーマンスマネジメントの潮流は、“ノーレイティング”という斬新な制度・手法だけでなく、社員とのコミュニケーションや目標のあり方を見直すことで、社員一人ひとり成長が重要視されています。

パフォーマンスマネジメント活用時のポイント

ポイント1:会社や人事の考え・スタンスに一貫性を持たせる

会社が目指す方向性や考え方を、社員に伝わるように示した上で、それに沿った施策として周知していく必要があります。

ポイント2:変化に対する不安を受容する

変化に対してネガティブな反応を見せることは、人間としての本来の姿です。社員の不安を理解・受容した上で、根気強く説明や理解を求めることが必要です。

ポイント3:管理職の意識変革

会社の核となる管理職・リーダー層に対しては特に重点的に意識づけを行う必要があります。また最適なコミュニケーション頻度や運用についてヒアリングを行ったり、現場から上がってくる課題に沿っていることを伝えることも重要です。

ポイント4:管理職のコミュニケーション能力向上

今の管理職がメンバーだった時代には、密なコミュニケーションを受けておらず、そもそものやり方がわからない人も多くいます。その場合はコーチング研修などを合わせて行うとより効果的です。

ポイント5:会社全体で取り組む姿勢を打ち出す

社員が会社のビジョンに即したチャレンジングな目標に取り組める環境を、会社全体で整えることが大切です。

パフォーマンスマネジメント 最新導入事例

パフォーマンスマネジメントの概念をいち早く導入したアドビシステムズでは、離職率が過去最低水準に低下するなどの効果が表れています。米国では、2015年には既にフォーチュン誌500社の10%がノーレイティングを導入しています。日本でも先進的な企業で、新パフォーマンスマネジメントの価値観のもと、人事制度を改革する企業が出ています。代表的な事例を紹介します。

事例1:アドビシステムズのチェックイン(Check-In)

2012年、「チェックイン」という新しい人事評価制度を導入。これまで行っていた年1回の年次評価をやめ、上司と部下の面談機会を増やしてフィードバックを継続的に行うことで、社員のスキルアップやモチベーション向上を促進。新しい人事評価制度を導入以降、離職率が過去最低の水準に低下しており、社員のエンゲージメント向上に効果が表れている。

事例2:GE社の9ブロック廃止

2016年、社員を成果と価値観で9パターンに分類する「9ブロック」を廃止。年に1度、社員を3段階(A:リーダー層、B:中間層、C:ボトム)とランク付けし、下位10%のCに相当する人材をリストラもしくは配置換えする制度もとりやめる。現在は、マネージャーによるコーチングに比重を置いた人事制度に移行している。新制度では、上司と部下のタッチポイントを重視し、上司は評価する役割ではなく部下を育成・支援する役割が求められる。

事例3:博報堂DYデジタルのgOs

2017年度より、社員の相対評価とレイティングを廃止。「gOS」と呼ばれるグロース・マインドセット(自分の成長は経験や努力によって、向上できる」という考え方(ものの見方)をもとにした枠組みを導入。

事例4:三栄建築設計(東証一部) 人事評価そのものを廃止

年に2回のフィードバック、社員5段階評価(A、B、C、D、E)など、これまで行ってきた人事評価制度を全て廃止。上司の仕事は部下を裁くことではなく育成することにあるとし、四半期ごとの面談を設定。面談では上司はコーチングに徹し、部下が上司から支援を受けたいことを聞いたうえで部下をサポートするマネジメント手法を導入。

まとめ

パフォーマンスマネジメントの考え方は、ここ数年で大きな進化を遂げています。従業員の成果を精緻に評価することが、業績向上や生産性を上げることに繋がっていない現状を打破するべく、様々な考察や取組みがなされています。

企業が安定的な成長を遂げていくために、これまでにも増して「人材活用」というテーマに大きな関心が集まっているといえるでしょう。

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