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時代遅れの人事評価制度を刷新する (3 )Reboot: 新たな世界観の下でつくり替えた制度を運用し、定着させる

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時代遅れの人事評価制度を刷新する(3)Reboot:新たな世界観の下でつくり替えた制度を運用し、定着させる

はじめに

時代遅れの人事評価制度を刷新する7月18日に発刊された『時代遅れの人事評価制度を刷新する』(タムラ・チャンドラー著、ヒューマンバリュー出版)の内容を紹介しながら、人事評価制度刷新のあり方を考える本特集、初回の第1部では、従来型の人事評価制度を脱却し、新たな世界観に基づいた制度をつくっていく必要性について紹介してきました。

前回の第2部では、第1部で紹介した新たな世界観の下で、古くなった制度をつくり直していくポイントについて紹介してきました。そして、今回の第3部のテーマは「Reboot(再起動)」です。新たな世界観の下でつくり替えた制度を従業員が効果的に運用できるようになるための押さえどころを明らかにし、現場にしっかりと定着させていく実践的なポイントを扱ったパートです。

絵に描いた餅で終わらせないために

「絵に描いた餅」ということわざが示すように、どんなに素晴らしい設計ができたとしても、それが効果的に実行に移されなければ、それまで費やしてきた労力は水の泡となってしまうことは周知の通りかと思います。一方、実行の重要性はわかりつつも、具体的な方法はよくわからないというのが実情ではないでしょうか。

著者のタムラ・チャンドラー氏も、Rethink(再考する)、Redesign(再設計する)を通じて生まれた新たなパフォーマンス・マネジメントの制度を現実のものとするために、Reboot(再起動する)が極めて重要なフェーズであることを説いています。

Rebootの内容は、書籍では、第2部でも触れたパフォーマンス・マネジメントを再設計するための5つのフェーズのうち、「実行プランを練る」「運用する」において詳細に描かれています。本稿でも、その流れに沿って、書籍の内容を紹介し、Rebootのポイントを考えていきたいと思います。

時代遅れの人事評価制度を刷新する (3)Reboot:新たな世界観の下でつくり替えた制度を運用し、定着させる

実行プランを練る:その他の仕組みとの影響関係を押さえる

実行プランの策定や運用に先立ち、新たなパフォーマンス・マネジメントの仕組みを、従業員が効果的に活用するための準備として、パフォーマンス・マネジメント以外の仕組みとの影響関係を押さえることが大切です。

なぜなら、たとえば、再設計された1on1の面談を通じて、マネジャーが部下の成長や経験値の向上につながる新たなキャリアチェンジを支援しようとしたときに、キャリアの社内公募制度の仕組みと連動していると、部下の新たなキャリアチェンジの実現の後押しにつながる可能性が高まるからです。

それでは、パフォーマンス・マネジメントの仕組みの導入を通して創り出したい成果や結果を得るために、その他の仕組みとの影響関係をどのように押さえればよいのでしょうか?

まずは、影響関係が密接なタレント・マネジメントの仕組みとの統合について検討していくことからはじめます。具体的には、第2部でRedesignの「内容を検討する」のフェーズで紹介された新たなパフォーマンス・マネジメントの施策のカテゴリーである、「ゴール設定と人々とのアライメント(連携)」「フィードバックとパフォーマンスへの洞察」「コーチングとメンタリング」「キャリアと育成の計画」「タレント・レビューと人材に関する洞察」「報酬全般」に基づいて検討された施策とタレント・マネジメントの仕組みをどう統合していくか、関係者との丁寧な話し合いを通じて、対処策を検討します。

次に、ITシステムとの統合について検討していきます。ITシステムとの影響関係を押さえ、適切なテクノロジー戦略と対処策を検討するにあたり、チャンドラー氏は、次のような注意すべき点や踏まえるべきコツを提示しています。

  1. テクノロジーをパフォーマンス・マネジメントの問題を治す特効薬として期待しすぎない。あくまでもパフォーマンス・マネジメントの仕組みの設計が第一で、テクノロジーが第二であるということ
  2. 新たなパフォーマンス・マネジメントが機能するために、テクノロジーを使う必要があるのか、使うとしたらどの場面で使うのかを決定すること
  3. テクノロジーはスケジュールを左右する主要な要素になるため、パフォーマンス・マネジメントの仕組みの構築にあたって、ITチーム(社内のシステム部門や外部ベンダーなど)に強く依存している場合は、各段階で彼らを巻き込むなど緊密な連携をとりながら進めること
  4. もし、ITのニーズが新たなパフォーマンス・マネジメントの仕組みの実行を減速させているのであれば、簡単に使えるテクノロジーから始めることができるかを検討すること
  5. IT市場には、伝統的なパフォーマンス・マネジメントのモデルに沿ったものからソーシャルメディアのプラットフォームに至るまで、多様な選択肢やツールが利用可能なため、市場を俯瞰し、賢く選択すること

タレント・マネジメントやITシステム以外にも、経営の戦略プランニングなどのプロセスとの関係も考慮する必要性が出てくることもよくあるようです。

上述したような影響関係を捉え、対処策を検討するにあたっては、実際は政治的な手腕が問われる場面があるなど、決して一筋縄で進むわけでありません。そのような中でもパフォーマンス・マネジメントを従業員のものとするという夢の実現のために、勇気をもって粘り強く取り組んでいくことの大切さをチャンドラー氏は力説します。

以上のプロセスを経て決定した対処策や情報を踏まえ、パフォーマンス・マネジメントの実行プランを策定していきます。ここで言う、実行プランとは、パフォーマンス・マネジメントの仕組みを支えるためのツールなどの成果物の開発概要をまとめた基本プランとなります。たとえば、1on1面談をサポートするパルスサーベイやフィードバックシステムを統合したツールを開発する場合の要件、期間、コストなどを明記します。

また、このタイミングで、必要に応じて第2部の「体制をつくる」フェーズで検討したパフォーマンス・マネジメントの展開プロセスの見直しを行います。さらに、運用で実施する研修資料や配布するガイドなどツールを作成し、今後のより良い運用に向けた準備を整えます。

運用する:チェンジ・マネジメントの推進によって定着させる

いよいよパフォーマンス・マネジメントの運用フェーズです。

この運用フェーズにて、私たちの頭の中に浮かぶ一番の願いは、いったん導入したパフォーマンス・マネジメントの仕組みが試行錯誤を経ながらも継続的に従業員に活用され、最終的に定着することです。

この願いを具現化するためには、パフォーマンス・マネジメントへの従業員の賛同の集め方、円滑な導入の仕方、仕組みを効果的に持続させるための運用などを踏まえた変革プランを策定し、実行することが大切です。以下に、要約したポイントを紹介します。

  • 説得力のある説明をする
    デザインチームがパフォーマンス・マネジメントの仕組みを検討する際に、掛けた時間とプロセスを、従業員は経験していないという前提に立ち、論理と情理を踏まえた変革の必要性を従業員に伝えていくことが大切です。
  • パフォーマンス・マネジメントの導入によるインパクトを明確にする
    一般社員、マネジャー、経営陣、HRビジネス・パートナーなどのステークホルダー別に、誰がどのようなインパクトを受けるのかを明らかにすることが大切です。インパクトの対処の基本は、当事者たちと直接対話することです。
  • リスクを評価する
    どれぐらいのリスクを引き受けてもらえそうか、上記2で示したステークホルダー毎に見積ります。たとえば、カスタマー・エクスペリエンス(顧客が体験する価値)にマイナスとなるようなリスクや、パフォーマンス・マネジメントの展開そのものに支障を来すようなリスクは、軽減する必要があります。
  • 変化の飽和状態について考える
    人には一度に受け入れることができる変化の許容量があります。従業員が変革疲れに陥らないよう、仕組みの導入タイミングの調整やマネジャーの協力を仰ぐなどの対策を打つことが大切です。
  • 変革プランをつくる
    ステークホルダー別に、何(例:説明会や研修などの変革の活動)を、いつ行うかについて明らかにしたプランを検討します。
  • 現場の変革推進者を集める
    新たなパフォーマンス・マネジメントへの移行プロセスを支援する現場の変革推進者を募り、変革の背景、進め方、プロセスなどについて事前に学んでもらいます。彼らの役割は、現場の従業員の受け入れ態勢を強化し、変革に関する適切な情報発信のキーパーソンになることです。
  • 抵抗を予期する
    多くの人は新しい考え方やアプローチに対して抵抗するのが自然です。抵抗の背景には様々な要素があります。たとえば、マネジャーであれば、慣れ親しんだマネジメントのやり方をやめることへの恐れがあります。他には、新たなパフォーマンス・マネジメントの仕組みが本当にうまくいくかどうか、わからないという不確実な状況に対する恐れ、業務負荷が増加することに対する恐れ、新たな考え方ややり方に馴染むことが自分にはできないという無力さに対する恐れなどがあります。
  • 反対する人々に備える
    伝統的なパフォーマンス・マネジメントを守りたい人や根付いている現状のやり方を変えたくないと反対する人に出会うことを想定し、想定問答を考えておくことが大切です。たとえば、「レイティング(評価段階づけ)なしでどうやって報酬を決定するのか?」といった反対意見がありそうだと思えば、その回答をあらかじめ準備しておきます。

私たちがこれまでクライアントのチェンジ・マネジメントの支援に携わってきた中で、経験を通して学んだ変革推進の最も重要ポイントは、変革に対する現場の方々の理解を促進し、納得を醸成するための丁寧な対話のプロセスをつくることです。変革を急ぐあまりに、相手の置かれた状況や気持ちへの共感や配慮をおろそかにしてしまうと、そうした行動がかえって相手の反発を招き、変革にブレーキがかかってしまいます。組織とは感情をもった人によって構成されているという前提を念頭に置き、抵抗や反発をよくないものとしてみなすのではなく、むしろ、変革の揚力としてみなすことが大切なのではないでしょうか。

終わりに:

これまで3回にわたって、書籍の内容や人事評価制度刷新のポイントについて、Rethink(再考する)、Redesign(再設計する)、Reboot(再起動する)のステップに沿って紹介してきました。本書を通じてタムラ・チャンドラー氏が伝えたかったメッセージとは、パフォーマンス・マネジメントの変革のあらゆる局面で鍵となるのは「人」であり、人間中心の世界観で組織をつくることこそが、組織の競争力を高めることにつながるということです。

ただ、そうした組織づくりは、「ローマは1日にしてならず」であるということを念頭に置き、日々の地道な試行錯誤の実践を通して、生成的に未来を創っていくことが大切となります。

< 作成者 > 
株式会社ヒューマンバリュー 取締役主任研究員 長曽 崇志 株式会社ヒューマンバリュー 取締役主任研究員 長曽 崇志
株式会社ヒューマンバリュー取締役主任研究員。上智大学法学部を卒業後、東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行。その後、ソニー株式会社、人材開発系ベンチャーを経て現職に至る。大手企業からベンチャー企業に至るまで、個人の内なる力を解放し、集合的な知性を生み出す組織学習を通じて、未来を創造するマネジメント・イノベーションを支援するプロジェクトに主に携わっている。 また、「学習する組織研究会」を主催し、組織変革を推進する人々とのネットワークづくりや実践的なナレッジ生成の支援を行っている。 共訳書に『脳科学が明らかにする大人の学習 ~ニューロサイエンス・オブ・アダルトラーニング』がある。
 

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~そのパフォーマンス・マネジメントは価値を生み出していますか?~

単行本(ソフトカバー) – 2018/7/18
タムラ・チャンドラー (著), 阿諏訪博一 (監修),
株式会社ヒューマンバリュー (翻訳)

 

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