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時代遅れの人事評価制度を刷新する (2)Redesign:新たな世界観の下で制度を作り替える

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はじめに(連載趣旨)

時代遅れの人事評価制度を刷新する

7月18日に発刊された『時代遅れの人事評価制度を刷新する』(タムラ・チャンドラー著、ヒューマンバリュー出版)の内容を紹介しながら、人事評価制度刷新のあり方を考える本連載、前回の第1部では、従来型の人事評価制度を脱却し、新たな世界観に基づいた制度をつくっていく必要性についてご紹介しました。

(1)Rethink:これまでの制度・慣行を見つめ直し、新たな世界観を獲得する https://hito-link.jp/media/column/pm/hvpm1/

そして今回、第2部のテーマは「Redesign(再設計)」です。第1部でご紹介した新たな世界観の下で、古くなった人事制度をつくり直していくポイントやそのプロセスを扱った肝のパートをご紹介します。

検討の「プロセス」が制度に命を吹き込む

Redesignの章の冒頭で、著者のタムラ・チャンドラー氏は、次のように述べています。「私はプロセスの重要性を固く信じています。強固なプロセスは、あなたのデザインチームを支え、皆が同じ考えをもち、何がいつ期待されているのか、次に何が起きるのかといったことをチームが理解する手助けとなるのです」。

制度を設計するにあたっては、どんな制度が良いのかという制度の中味や内容にとかくフォーカスが当たりがちです。しかし、それ以上に大切なのは、「どんなプロセスを通して制度の検討や設計を進めるか」にあります。検討のプロセスの質が低いと、十分な探求や関係者の巻き込みがなされず、結果としてせっかくつくった制度が機能しないということにつながりかねません。

書籍の中では、下図の5つのフェーズ(第2部はそのうち前半の3つのフェーズ)に分けてプロセスの重要性や実践例が詳細に描かれています。本稿でも、書籍の流れに沿って、また、弊社ヒューマンバリューの経験も交えながら、Redesignのポイントを考えていきたいと思います。

体制をつくる:適切な人を対話に招く

最初の一歩は、「誰が」検討に加わるのかを考えることから始まります。たとえば、自社で制度をつくったり、変革する際にはチームに誰を加えるでしょうか? 従来型の制度改革のプロセスにおいては、人事部のメンバーを中心にチームが形成され、経営層や一部のマネジャーのみにヒアリングが行われ、最終的に出来上がった制度に対して答申が行われたり、制度説明がなされるといったプロセスも多かったかもしれません。

しかし、こうした一部のメンバーに限られた検討プロセスでは、当事者意識が得られなかったり、現場の実態とかい離してしまい、制度の不適合や形骸化を招きがちです。チャンドラー氏は、「決して一人で進めてはいけません。もし大勢の人々を、彼らにとってなじみのあるやり方とは違う新しい方向に向かわせたいのであれば、必ず初めから適切な人を巻き込む必要があるでしょう」と述べています。検討の早い段階から、経営層のコミットメントを得たり、できるだけ多くの人が主体者として関わり、対話に参加できる体制をつくっていくことが重要といえます。

<多様性を重視したデザインチームを築く>

参照:P.124「図表5-1デザインチームの例」

弊社が制度の変革に関わる際にも、デザインチームの多様性を重視するよう心がけています。人事部メンバーのみならず、現場のマネジャーやメンバー、経験豊かな人、浅い人、変革に前向きな人やそうでない人など、会社の縮図が反映されるようなチーム形成を行うことが重要です。また検討の途中のプロセスもできるだけ組織全体にオープンにし、対話の場をもつことで、検討段階から少しずつ制度に対する関心を高めたり、当事者意識をもってもらうことがポイントです。

<初期の検討段階でマネジャーを招いて対話会を行う>

多様な人が関わるということは、多様な意見が出るので、それだけ時間や手間は掛かり、大変なことも当然あります。しかし、一見時間のかかるこのプロセスこそが、関わる人たちの学びを深めるとともに、変革を後押ししてくれるエンジンになります。

枠組みを描く:基本方針(原理)の明確化

デザインチームをつくったら、本格的な検討に入りますが、最初に明らかにすべきは、制度変革を通して自分たちが何を実現したいのかということです。当たり前のことですが、制度をつくることはゴールではありません。たとえば今注目度の高い、ノーレイティングや1on1といった新たなパフォーマンス・マネジメントの仕組みも、それ自体が目的ではありません。制度の変革を通じて、どんな価値を生み出したいのか、どんなカルチャーや組織、人を育みたいのか、そのために現状の何がボトルネックになっているのかを探求することで、私たちの「目的地」と「スタート地点」を明らかにする必要があります。

そして、目的地とスタート地点を明らかにしたら、目的地に向かうための原理を生み出します。これが設計の基本方針であり、私たちの検討を導く誘導灯の役割を担うものといえます。古い制度の枠組みにとらわれることなく、本当に実現したい状態を生み出すために何を変える必要があるのかを柔軟に考えていきます。「コントロール・監視から自律・主体性へ」「個人の競争からチームによる創発へ」「過去の成果から未来の成長へのフォーカスへ」「評価への恐れから信頼へ」といった実現したい新しい世界への転換を図るために何が必要かを問いかけ、デザインチームで探求を深めていきます。自分自身の経験を振り返ってみても、この基本方針を明らかにするところが、最も洞察力が求められ、議論が白熱するパートでもあります。

書籍の中では様々な業態の企業が実際に基本方針の設定に取り組んだ例が紹介されています。たとえば、小売業のRetail.com社(仮名)では、次の6つの基本方針が設定されました。

  • 顧客中心の組織文化を強化する
  • 内部の異動を促進し、人材のリテンションを高める
  • 優れたマネジャーを育成し、報酬を与える
  • それぞれの従業員の分類に固有のニーズに対応できるように、アプローチをカスタマイズする
  • 店舗マネジャーに権限委譲し、チームメンバーの経験機会を増やす
  • 店舗の高いパフォーマンスに対して、チーム単位の報酬を与える

そして、この6つの方針を実現するための制度の枠組みを下図のように基本設計としてデザインしていきます。

 

参照:P.188「図表8-10 Retail.comの設計の基本方針の枠組み」

こうした基本方針を明確化することに多くの人を巻き込みながら、しっかりと議論し、固めることで、自分たちが何を実現したいかということにいつでも立ち返り、検証することができるため、その後の制度づくりの質が高まります。逆にこの基本方針が明確でないと、制度や仕組みを寄せ集めただけのばらばらなものになりかねません。たとえば、具体的な施策の検討の場面に入ると、初期に描いた変革のビジョンや構想が忘れ去られて、保守的になり、結果として今までと代わり映えのしない妥協の産物としての制度になってしまうことも起こりがちです。

基本方針を、デザインチーム内、及び必要なステークホルダー間で明確化し、握っておくことで、勇気をもって大胆な施策に取り組みやすくなります。書籍の中では、基本方針を検討するためのツール類も数多く紹介されているので、ぜひ参照してみてください。

内容を検討する:人・組織の成長の観点から施策を具体化

基本方針が明らかになったら、いよいよ具体的な施策や仕組みを検討する段階に入ります。設計図をもとに、家を建てるプロセスといってよいでしょう。チャンドラー氏は、基本方針を実現するために何ができるのかをブレーンストーミングし、可能性を広げていくことを推奨しています。

このとき大事にしたいポイントは、「人事評価制度を幅広い観点から捉える」ことにあります。人事評価制度に関する施策を検討する際、適切な評価の仕方や報酬制度に多くの時間が割かれる傾向があります。しかし、(1)Rethinkでご紹介した、新たな世界観における人事評価制度は、評価のための制度ではありません。人が成長し、豊かなカルチャーを築き、事業の価値を高めるためのものです。

そのため、検討する施策や仕組みの領域もおのずと広くなります。たとえば、質の高い目標設定をどのように行うのか、上司・部下のカンバセーションをいかに豊かなものにするのか、同僚同士のフィードバックをいかに促進するのか、評価制度をキャリアや育成とどのように結びつけるのか、タレント・レビューをどのように導入するのかなど、さまざまな施策や取り組みと連動させ、整合性の取れたものにしていきます。書籍の中では、下図の6つの領域で具体的な検討を行っていく例が豊富に紹介されています。

参照:P.148「図表7-1 ファシリテーションの例」

終わりに:One Size Fits Oneによる制度構築を

ここまでRedesignのポイントを簡単に紹介してきました。実際に、人事評価制度は、どんな組織にも適合できるものがあるわけではなく、「One Size Fits One」(カスタムメイド)で自分たちに合った制度を築いていくことが重要です。

変革は、制度を検討する段階からすでにスタートしているといえます。多くの社員が本質的な議論に関わるプロセスを歩むことができれば、組織全体で自分たちの働き方や成長、マネジメントのあり方を当事者として考え、深める機会を生み出すことにつながり、それが制度に命を吹き込むのです。

次回の第3部「Reboot(再起動)」のパートでは、実際に作り直した制度をいかに展開・運用し、変化を育てていくのかのポイントを紹介していきます。

< 作成者 > 
株式会社ヒューマンバリュー 取締役主任研究員 川口 大輔 株式会社ヒューマンバリュー
取締役主任研究員  川口 大輔
早稲田大学大学院理工学研究科(生体機械工学専攻)を修了。外資系企業を経て、株式会社入社。「学習する組織」の思想をベースにした組織開発の支援やエンプロイー・エクスペリエンスの創造に取り組む。特に近年は、企業・行政体にて全社的なマインドセットやカルチャーの変革、リーダーシップ開発や組織イノベーション、エンゲージメントの向上のプロジェクトに従事し、人・事業・社会の価値創造に貢献している。
システム思考、ポジティブ・アプローチ、パフォーマンス・マネジメントなど、幅広いテーマに関する調査・研究・実践を行いながら、HRや組織変革の国内外の動向に関して発信を行っている。主な訳書に『組織開発の基本~組織を変革するための基本的理論と実践法の体系的ガイド~』『脳科学が明らかにする大人の学習』『時代遅れの人事評価制度を刷新する~そのパフォーマンス・マネジメントは価値を生み出していますか』(ヒューマンバリュー出版)がある。
 

時代遅れの人事評価制度を刷新する時代遅れの人事評価制度を刷新する
~そのパフォーマンス・マネジメントは価値を生み出していますか?~

単行本(ソフトカバー) – 2018/7/18
タムラ・チャンドラー (著), 阿諏訪博一 (監修),
株式会社ヒューマンバリュー (翻訳) https://www.amazon.co.jp/gp/product/4990689380/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4990689380&linkCode=as2&tag=humanvalue-22&linkId=0bb30d9029e76b574fd10c4b0e31a905

 

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